2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Molecular Science for Nanomedicine |
Project/Area Number |
23107004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
由井 伸彦 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (70182665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金野 智浩 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特任准教授 (80371706)
徐 知勲 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (20611544)
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Keywords | 動的超分子 / ポリロタキサン / 細胞内分解 / 細胞内取り込み |
Research Abstract |
本年度は、細胞内での分子間反応を解析する動的超分子の基盤として、環状分子としてα-シクロデキストリン(α-CD)、線状高分子としてポリエチレングリコール(PEG)を用いて種々の細胞内分解性基をPEG末端に有するポリロタキサンを合成し、その細胞内分子反応の基礎となる解析を行った。具体的には、細胞内還元環境下で分解するジスルフィド結合、細胞小胞内など低pH下で分解するアセタール基をそれぞれPEG両末端に導入したポリロタキサンを合成した。その上で、タンパク質や核酸など有用物質の細胞内送達、細胞膜タンパク質との相互作用、および細胞内取り込みを制御するために、CD側鎖に疎水性基(メトキシ基)あるいはカチオン性基(ジメチルアミノエチル基)を導入した。これらポリロタキサンを用いて、核酸(pDNAおよびsiRNA)との複合体形成および核酸放出特性を解析した。また、細胞毒性を培養HeLa細胞を用いたMTTアッセイにより評価した。更に、来年度以降にポリロタキサンの細胞内挙動を共焦点レーザー顕微鏡およびFACSにより定量的に解析する目的で、CD側鎖に蛍光物質を導入した。カチオン性基を導入した細胞内分解性ポリロタキサンと核酸との複合体形成については、pDNAではカチオン/アニオン比に依存した傾向が、siRNAではモル比依存性がそれぞれ認められた。またこれら核酸の放出特性解析から、siRNAとの複合体がpDNAよりも粗であることが示された。こうした結果から、pDNAとsiRNAとではポリロタキサンとの複合体形成の機構が異なっていることが明らかとなった。また、種々のカチオン性基を有する細胞内分解性ポリロタキサンの細胞毒性をMTTアッセイにより評価した。対照として用いたポリエチレンイミンではカチオン濃度依存的な強い細胞毒性が認められたが、ポリロタキサンの毒性ははるかに軽微であり、カチオン濃度依存性の低いことがわかった。これより、カチオン性基を導入した細胞内分解性ポリロタキサンでは、カチオン性基が導入されているCDの運動性やポリロタキサン骨格による分子剛直性などによって細胞膜構造を破壊するような強い相互作用を回避しているものと推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
9月からの半年間に、今後の研究期間で検討する研究を展開するために必要な基盤としての超分子の合成の基礎を確立した。また次年度にむけて細胞内解析のための手法の予備検討を開始しており、研究が概ね良好に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、本年度に確立した方法によって細胞内で機能する超分子を種々に合成し、それを細胞外からのエンドサイトーシスによって、あるいは細胞内へのマイクロインジェクションによって細胞内部へ導入し、その細胞内動態を定量的かつ視覚的に解析していく。特に超分子の構造パラメーターと細胞内取り込みあるいは細胞内機能との関係を広範囲に検討し、次年度以降の細胞内バイオ分子反応解析の方法論を確立していく。
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