2012 Fiscal Year Annual Research Report
Development of intracellularly-acting supermolesules for regulating cellular functions
Project Area | Molecular Science for Nanomedicine |
Project/Area Number |
23107004
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
由井 伸彦 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (70182665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徐 知勲 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (20611544)
金野 智浩 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80371706)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 超分子 / ポリロタキサン / siRNA / 酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では分析、診断、治療における超分子ポリロタキサン(PRX)の応用を推進しており、本年度は特に生体分子の細胞内デリバリーを推進し、PRX超分子骨格の効果を明らかとすることを目的に研究を実施した。生体分子としてsiRNAを選択し、ジメチルアミノエチル基修飾PRX(DMAE-PRX)との静電複合形成を評価した結果、CD貫通数が多く剛直な骨格のPRXほど低混合(N/P)比で複合体を形成することが明らかとなった。一方、PRX/siRNA複合体に対してヘパリンを添加した際のポリアニオン交換反応によるsiRNAの放出挙動を調べた結果、CD貫通率28%のPRXと比較して、CD貫通率45%のPRXは最大で10倍高い濃度のヘパリンを添加することではじめて複合体からのsiRNAの放出が観察された。以上より、PRXの骨格構造(CD貫通数)がsiRNAとの静電複合体形成能と安定化に寄与していることが明らかとなった。また、細胞内へDMAE-PRX/siRNA複合体の導入を行なった結果、市販の導入試薬より有意に高い細胞内siRNA導入量を示し、特にCD貫通率45%のPRXにおいては約30倍高い取り込みを示した。以上より、siRNAの細胞内導入において超分子骨格が強く影響することが明らかとなった。このような細胞内デリバリーにおけるPRX骨格の特徴をさらに推し進めるため、アニオン性酵素であるβ-ガラクトシダーゼ(gal)との静電複合体評価と細胞内デリバリーを行なった。DMAE-PRXはgalは酵素の立体構造を損なうことなく静電相互作用による複合体を形成することが明らかとなった。さらにDMAE-PRX/gal複合体は市販のタンパク質導入試薬より高い細胞内導入効率を示した。以上より、生体分子との複合体形成や細胞内導入におけるPRX骨格の有意性が明らかとなり、治療技術としての応用に期待ができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の最終目標として、1. ポリロタキサンの細胞内デリバリー、2. 細胞内イメージング、3. 治療技術への展開を行うことを計画している。1に関しては、ポリロタキサン単独での細胞内利用を想定した検討であり、細胞内への取り込みにおけるポリロタキサン超分子骨格の影響を検討した。その結果、ポリロタキサン骨格構造により細胞内への取り込み効率を大幅に亢進できることを見出した。2のイメージングに関しては、蛍光標識ポリロタキサンの合成方法を確立し、今後細胞内のイメージングへと展開する計画である。3に関してはポリロタキサンを用いてsiRNA、酵素といった生体分子を細胞内へ導入し、機能発現に関して研究を行なった。超分子骨格の影響を検討するとともに、分解応答型ポリロタキサンを用いたデリバリーを行い細胞内リリース効率を図った結果、従来の導入試薬を凌駕する機能発現を達成した。以上の結果より、当初の計画通りに研究が進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の計画として、これまで得られた要素技術をさらに治療へと展開する。siRNAデリバリーに関する研究ではレポーターアッセイなどのモデル実験系での検討を行なってきたが、今後は疾患モデル細胞に対する内在性遺伝子発現阻害効果を検討する。同様に、酵素デリバリーに関しても遺伝子欠損細胞に対する酵素補充療法を検討する。また、ポリロタキサンのイメージング応用に関しては、今後細胞内での蛍光シグナルの確認を行うとともに、イメージング対象の選定を行い、より具体的な応用展開を図る予定である。
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