2012 Fiscal Year Annual Research Report
Clarification of molecular mechanism of lymphatic metastasis and development of new therapy for cancer metastasis
Project Area | Molecular Science for Nanomedicine |
Project/Area Number |
23107009
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
権田 幸祐 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80375435)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ナノバイオ / ナノ材料 / 癌 / 生物物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成24年度は新たなX線造影ナノ粒子や蛍光ナノ粒子の開発を行った。これらのナノ粒子を用い、X線CTイメージングで微小がんを検出する方法の開発や、がん組織に存在するがん化関連因子の発現量を高精度蛍光ナノイメージングする方法の開発などを行った。 X線CT造影剤として金に注目し、一定の大きさの金ナノ粒子を液相還元法により作製し、PEG鎖でコーティングした(金/PEGナノ粒子)。ナノ粒子を担がんマウスに静脈注入したところ、金/PEGナノ粒子は注入してから12時間後において、注入量の50%以上が血液中への滞留性を維持していた。血液滞留性の向上に伴いEPR効果が強化され、結果として微小がん組織を効果的にイメージングすることに予備的に成功した。今後造影剤の分子標的性の機能強化を行うことにより、がん検出感度のさらなる向上に加え、がんの生体内分子メカニズムの解明が進むと期待される。 従来の病理組織の免疫染色は、酵素反応を利用しているため、高い定量性を望むことが難しかった。一方、蛍光を用いた免疫染色法において、蛍光物質の発光強度は、励起光の出力に比例するため、定量性を向上させることができる。免疫染色用の高輝度蛍光ナノ粒子の開発として、テトラメチルローダミンを大量に高充填化したナノ粒子を作製し、表層をシリカコーティングした後、PEG鎖を担持させた。この粒子を用いて、ヒト乳がん組織中に存在するエストロゲン受容体(ER)の免疫組織染色を行い、独自の蛍光画像処理を行った結果、従来の酵素を使った色素染色では検出できなかった低レベルのER発現から高レベルの発現まで、幅広いレンジでERの局在量を定量化することに成功した。本方法は、術後の予後診断や抗がん剤奏効性診断を高確度で行うことに役立つと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
独自の蛍光ナノ粒子と蛍光画像処理技術をがん化関連因子の発現量定量化に応用することに成功している。またこれらの蛍光観察技術を統合する生体ナノイメージング装置を構築中であり、25年度は蛍光イメージング精度の向上が期待される。さらにX線造影ナノ粒子の開発とその生体イメージング応用に予想以上の大きな進展が見られ、25年度はX線CTイメージングの一層の展開が見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の推進は概ね順調に進んでおり、この方向性で着実なデータ取得を推進する予定である。
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Research Products
(14 results)