2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Frontier of Materials, Life and Elementary Particle Science Explored by Ultra Slow Muon Microscope |
Project/Area Number |
23108003
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
鳥養 映子 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (20188832)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝倉 清高 北海道大学, 触媒化学研究センター, 教授 (60175164)
杉山 純 株式会社豊田中央研究所, 分析研究部・ナノ解析研究室, 主席研究員 (40374087)
菅原 洋子 北里大学, 理学部, 教授 (10167455)
下村 浩一郎 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 准教授 (60242103)
吉野 淳二 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (90158486)
永嶺 謙忠 独立行政法人理化学研究所, 山崎原子物理研究室, 客員研究員 (50010947)
|
Keywords | 超低速ミュオン / スピン伝導 / イオン伝導 / 化学反応 / 生体物質 / スピン偏極電子銃 / 光触媒 / リチウム電池 |
Research Abstract |
本計画班は、キャリアの動的過程、すなわち伝導と反応を伴う諸現象の機構を、統一的な視点から解明する物理、触媒化学、生命、電気化学の新しい融合分野の開拓を目指す。電子伝導・イオン伝導・触媒化学反応・生命分子反応に内在するスピンの時間発展を、超低速ミュオン顕微鏡を用いて観測し、「動的過程を伴う相互作用のスピン選択性」という概念で理解するために、平成23年度はキャリアの運動を伴う以下の4つのモデルシステムについて準備研究を行った。1.界面近傍におけるスピン伝導:GaAsの円偏光スピン偏極電子励起で観測された負ミュオニウムのスピン依存性について、連携研究者らの協力により理論研究を進めた。任意の物質への高効率なスピン注入の手法として、加速器科学研究者らの協力を得て20keV偏極電子銃の基本設計を完成させた。2.触媒化学反応:光触媒酸化物TiO_2に担持するPt錯体の種類を変えると触媒活性が変化する現象を解明するために、Ptの構造をXAFSにより決定し、電子顕微鏡やPEEM法により、ナノ粒子の大きさ・分布・表面の欠陥の分布を評価した。連携研究者らの協力を得てミュオニウムと酸素欠陥との相互作用を予め検討した。3.電気化学を担うイオン伝導:リチウム電池正極に使われる「遷移金属とリチウムを含む複合酸化物」のイオン拡散係数を従来のミュオンを用いて測定し、バルク材料の固体内イオン拡散係数のデータベース構築に向けてデータを蓄積した。特にオリビン構造を取る一連のLi電池正極材料(LiMPO4,M=Fe,Co,Ni)のμSR実験から、各物質の自己拡散係数を実験的に始めて明らかにすることができた。4)生命反応を司る電子伝達:蛋白質については、薄膜ヘム蛋白試料について電子伝達の系統的研究を行うために、含水量を制御した単結晶蛋白質試料の合成を行い、並行して中性子散乱法による結晶水の分布とゆらぎを解明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
震災の影響により既存のミュオン施設を用いたミュオン予備実験の一部については、平成24年度前期にビーム実験がずれこんでいるが、準備研究は順調に進展している。1.界面近傍におけるスピン伝導と、2.触媒化学反応に関しては実験・理論両面で新たな研究協力者計12名の参加を得て、実験と理論の共同研究体制が発足した。3.電気化学を担うイオン伝導に関しては、国外ミュオン実験施設を用いて活発な研究を展開し、液体溶媒に迫る固体溶媒中のイオン伝導の測定に成功した。4.についてはミュオン実験のための含水量を制御した単結晶蛋白質試料の合成に目途がついた。
|
Strategy for Future Research Activity |
4つのモデルシステムの準備研究は引き続きこれまでの方針通り進める。特にこれまでミュオンの利用研究が低調であった触媒化学と生命科学分野において、既存のミュオンビームを用いた準備実験を進め、成果を公表する。A01,A04班が中心になって進めている超低速ミュオン顕微鏡本体の設計が固まりつつあるので、これに合わせた各実験に必要な分光器の仕様策定、周辺装置の開発を加速的に推進する。本計画班では特殊な実験環境を必要とする課題が多いため、A01、A03班とのブリッジ研究会を定期的に開催し、分光器と周辺装置の標準化を図るとともに、特殊装置の配置や標準装置との相関解析を完了する。さらに、班を越えた研究課題の共有と深化を図る。
|
Research Products
(43 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation]2011
Author(s)
杉山純
Organizer
先端加速器科学技術推進協議会第20回技術部会
Place of Presentation
アルカディア市ヶ谷、東京(招待講演)
Year and Date
2011-07-19
-
-