2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Frontier of Materials, Life and Elementary Particle Science Explored by Ultra Slow Muon Microscope |
Project/Area Number |
23108005
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岩崎 雅彦 独立行政法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 主任研究員 (60183745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 隆 京都大学, エネルギー理工学研究所, 准教授 (50281639)
河村 成肇 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 研究機関講師 (60311338)
三部 勉 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (80536938)
斎藤 徳人 独立行政法人理化学研究所, 光量子工学研究領域, 上級研究員 (90333327)
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Project Period (FY) |
2011-07-25 – 2016-03-31
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Keywords | 量子ビーム制御技術 / ミュオニウム / VUVレーザー |
Research Abstract |
本計画研究の目的は、世界最強レーザー技術と最先端のバンチング技術を駆使して「超低速ミュオン顕微鏡」の基礎技術を支えると同時に、超冷却と尖鋭化によりミュオン顕微鏡の性能を更に高度化することにある。本研究領域における研究に必要な超低速ミュオン生成技術は、理研RAL支所においてKEKと共同開発してきており、すでにミュオン科学研究に優れた特性を持つことを実証した。 この技術を尖鋭化するためには、ミュオンを静止してなるべく低い温度の熱ミュオニウムを真空中に効率よく発生させるミュオニウム源を開発すると共に、熱ミュオニウムを高輝度VUVレーザー光で解離して真空中に熱ミュオンを高い収量で発生させる技術に磨きをかける必要が在る。前年度は、ミュオニウム源ではレーザーで高精細穴加工したシリカエアロジェルを開発し、VUVレーザーではクリプトンの4p-5p遷移を起こさせるのに最適な新奇セラミックレーザー結晶Nd:YGAGの開発に成功し、それぞれの要素技術に於いて大きなブレークスルーを達成した。 超低速ミュオンを更に高輝度化・低温化・高時間分解能化・高偏極化させる技術は、本新学術研究領域全体にフィードバックされ、多様な研究成果をあげる基盤を提供する。このために、高収量低温ミュオニウム発生や、ミュオニウム共鳴イオン化(解離)用の大強度レーザーなどの技術を先鋭化させる。この基盤技術は、ミュオン異常磁気能率(g-2)の精密観測に於ける超低エミッタンスミュオン源の原理実証研究となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
J-PARCに導入するレーザー開発研究を優先して来た。レーザー開発では、新規開発しなければならない光学結晶成長法の確立に時間がかかり、その部分が確立しなければ、レーザーを用いてミュオニウム解離で作り出したミュオンを取り出す装置の詳細が固まらないため、予算執行上の齟齬をもたらしている。一方で、ボトルネックであった光学結晶成長自体は、クリプトンの4p-5p遷移を起こさせるのに最適な1062.78nmの波長に増幅率の高い新奇セラミックレーザー結晶Nd:YGAGの開発に成功し、その技術を確立したので、今後急速に研究が進展すると考えられる。 他方、真空中にミュオニウムを作り出す標的物質(ミュオニウム源)に関して言えば、低密度のシリカアロジェル表面にレーザーを用いて微細な穴をほぼ稠密に穿つことで、従来の高温にした標的物質ではなく室温ですらこれまでに観測されたことの無いほど非常に多数のミュオニウムを放出することをTRIUMFのDCミュオンビームで確認し、解離用レーザーと組み合わせるばかりになっている。解離用レーザーも、現時点でほぼ完成しており、全体としては順調に研究が進展していると考える。 上記、2つの要素技術の組み合わせにより、今後の研究の展望は極めて明るい。
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Strategy for Future Research Activity |
本新学術領域A04班では大強度ミュオニウム解離用レーザー開発と、ミュオニウム解離で作り出したミュオンの大強度化およびビームの収束(絞り)性能などの量子ビームとしての性能を格段に上げるための研究を担っている。新学術領域A04班の責任分担として、新規の大強度のミュオニウム解離用VUVレーザーは既に概ね開発が終了しJ-PARCに導入した。本装置から安定したレーザー出力が得られ、J-PARCのミュオンビームが得られ次第、他の班による物性への応用研究に供される予定になっている。 新学術領域全体の展開のためには、J-PARCでは物性での応用研究に特化することが効率的である。一方で、A04班の主体的研究である量子ビームとしての性能を先鋭化する研究は、これまでレーザー開発で実現された、新規のレーザー技術とレーザー加工された室温のシリカアロジェル標的を組み合わせ、先鋭化のR&Dに特化することが効率的であるため、英国RAL研究所に付設された理研RAL支所に於いて研究を推進する。
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Research Products
(20 results)
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[Journal Article] Measurement of muonium emission from silica aerogel2013
Author(s)
P. Bakule, G.A. Beer, D. Contreras, M. Esashi, Y. Fujiwara, Y. Fukao, S. Hirota, H. Iinuma, K. Ishida, M. Iwasaki, T. Kakurai, S. Kanda, H. Kawai, N. Kawamura, G.M. Marshall, H. Masuda, Y. Matsuda, *T. Mibe, Y. Miyake, S. Okada, K. Olchanski, A. Olin, H. Onishi, N. Saito, K. Shimomura, P.E. Strasser, M. Tabata, etc
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Journal Title
Prog. Theor. Exp. Phys
Volume: 103C01
Pages: 103C01
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Development of room-temperature thermal-muonium-emitting material for ultra-slow muon production and afure plan of ultra-slow-muon beamline at RIKEN-RAL2013
Author(s)
S. Okada, G. Beer, Y. Fujiwara, K. Ishida, M. Iwasaki, H. Kawai, G. Marshall, T. Mibe, Y. Oishi, A. Olin, N. Saito, M. Tabata, D. Tomono, K. Ueno and K. Yokoyama
Organizer
International Symposium on Science Explored by Ultra Slow Muon (USM2013)
Place of Presentation
島根県松江市、くにびきメッセ
Year and Date
20130809-20130812
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