2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Frontier of Materials, Life and Elementary Particle Science Explored by Ultra Slow Muon Microscope |
Project/Area Number |
23108005
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岩崎 雅彦 独立行政法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 主任研究員 (60183745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 隆 京都大学, エネルギー理工学研究所, 准教授 (50281639)
河村 成肇 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 研究機関講師 (60311338)
三部 勉 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (80536938)
斎藤 徳人 独立行政法人理化学研究所, 光量子工学研究領域, 上級研究員 (90333327)
和田 智之 独立行政法人理化学研究所, 光量子工学研究領域, グループディレクター (90261164)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 量子ビーム制御技術 / ミュオニウム / VUVレーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
本計画研究の目的は、世界最強レーザー技術と最先端のバンチング技術を駆使して「超低速ミュオン顕微鏡」の基礎技術を支えると同時に、超冷却と尖鋭化によりミュオン顕微鏡の性能を更に高度化することにある。本研究領域における研究に必要な超低速ミュオン生成技術は、理研RAL支所においてKEKと共同開発してきており、すでにミュオン科学研究に優れた特性を持つことを実証した。 この技術を尖鋭化するためには、ミュオンを静止してなるべく低い温度の熱ミュオニウムを真空中に効率よく発生させるミュオニウム源を開発すると共に、熱ミュオニウムを高輝度VUVレーザー光で解離して真空中に熱ミュオンを高い収量で発生させる技術に磨きをかける必要が在る。前年度は、ミュオニウム源ではレーザーで高精細穴加工したシリカエアロジェルの加工方法の最適化試験を行った。さらに、理研RAL支所において新規ミュオニウム源と新規に開発されたレーザー結晶を用いてレーザーシステムを改良し実証実験を行うために、実験ポートに既設の古い装置を取り外してJ-PARCに移設するとともに、ポートの大幅な改造を行った。また、先鋭化研究を行うための試験装置の設計開発を行った。一方、J-PARCでの他班による物性研究用にVUVレーザーを開発しており、クリプトンの4p-5p遷移を起こさせるのに最適な新奇セラミックレーザー結晶Nd:YGAGをレーザー光の最終アンプに搭載してVUVレーザー開発を完成させる予定であったが、最終アンプに搭載するための大口径Nd:YGAG結晶の育成中に不具合が出て全体計画が遅れている。 最終年度の成果を確保するためにも、計画の遅れを取り戻すべく、さらなる努力が求められる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度も引き続きJ-PARCに導入するレーザー開発研究を優先して来た。レーザー開発では、クリプトンの4p-5p遷移を起こさせるのに最適な1062.78nmの波長に増幅率の高い新奇セラミックレーザー結晶Nd:YGAGの大口径化に開発過程で大きな問題が出た。小型結晶では透明で均質な良好な光学結晶の育成が実現していたが、大口径化に伴い、望ましくない微細な層状の構造の発現、結晶の濁り、結晶の部分欠けなど、考えうるあらゆる問題が発生した。このため、改めて大口径結晶における最適な結晶育成条件を求め直す事が不可欠となった。また、結晶成長に必要な素材そのものも、大口径結晶育成試験で消費して計画に遅れが出ている。新たに素材を準備して最適な結晶育成条件を見出す努力を継続し、期間内に十全な成果の実現を目指す。 他方、理研RALでのビームの先鋭化試験も、想定以上にレーザー結晶開発に予算を消費し充分な予算を研究装置開発に振り向ける事ができていない。それでも最低限の予算を確保し、その範囲内で最大県の研究が行えるように、改めて装置の基本設計を練り直し、理研RALに設置する研究基盤装置を作成した。大口径結晶を使用し、こちらについても十分な成果の創出を目指す。 ミュオニウムのイオン化に関する理論研究は概ね順調に進んでおり、適切な発表を行う事ができている。
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Strategy for Future Research Activity |
本新学術領域A04班では大強度ミュオニウム解離用レーザー開発と、ミュオニウム解離で作り出したミュオンの大強度化およびビームの収束(絞り)性能などの量子ビームとしての性能を格段に上げるための研究を担っている。新学術領域A04班の責任分担として、新規の大強度のミュオニウム解離用VUVレーザーは既に概ね開発が終了しJ-PARCに導入した。本装置から安定したレーザー出力が得られ、J-PARCのミュオンビームが得られ次第、他の班による物性への応用研究に供される予定になってる。 新学術領域全体の展開のためには、J-PARCでは物性での応用研究に特化することが効率的である。一方で、A04班の主体的研究である量子ビームとしての性能を先鋭化するに研究は、これまでレーザー開発で実現された、新規のレーザー技術とレーザー加工された室温のシリカアロジェル標的を組み合わせ、先鋭化のR&Dに特化することが効率的であるため、英国RAL研究所に付設された理研RAL支所に於いて研究を推進する。 Nd:YGAG結晶による増幅については、すでに中間アンプまでで十分な実績を積んでおり、大口径結晶育成が成功すれば計画の遅れを取り戻す事が十分可能であると考えている。これまでの大口径結晶育成試験で、問題の洗い出しは完了したと考えており、改良した手法で結晶育成を進行中である。また、理研RALでのビームの先鋭化試験も研究基盤装置は完成しており、レーザー導入前に必要な試験を開始する手続きが順調に進行しており、結晶育成をまって、期間内の成果創出を実現する。 ミュオニウムのイオン化に関する理論研究は概ね順調に進んでおり、計画通り研究を遂行する。
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Research Products
(24 results)
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[Journal Article] Enhancement of muonium emission rate from silica aerogel with a laser-ablated surface2014
Author(s)
G. A. Beer Y. Fujiwara, S. Hirota, K. Ishida, M. Iwasaki, S. Kanda, H. Kawai, N. Kawamura, R. Kitamura, S. Lee, W. Lee, G. M. Marshall, T. Mibe, Y. Miyake, S. Okada, K. Olchanski, A. Olin, H. Ohnishi, Y. Oishi, M. Otani, N. Saito, K. Shimomura, P. Strasser, M. Tabata, D. Tomono, K. Ueno, E. Won, K. Yokoyama
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Journal Title
Progress of Theoretical and Experimental Physics
Volume: 091C01
Pages: 091C01
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 室温標的を用いた超低速ミュオン生成の開発2015
Author(s)
岡田信二 P. Bakule, G.A. Beer, Y. Fujiwara, S. Hirota, K. Ishida, M. Iwasaki, S. Kanda, H. Kawai, N. Kawamura, R. Kitamura, S. Lee, W. Lee, G.M. Marshall, Y. Matsuda, T. Mibe, Y. Miyake, S. Nishimura, H. Ohnishi, Y. Oishi, S. Okada, K. Olchanski, A. Olin, M. Otani, N. Saito, K. Shimomura, P. Strasser他
Organizer
第6回 Muon科学と加速器研究
Place of Presentation
大阪府茨木市, 日本大阪大学核物理研究センター(RCNP)
Year and Date
2015-01-06 – 2015-01-06
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[Presentation] 超低速ミュオン生成用Lyman-α光源の開発2014
Author(s)
宮崎洸治, 斎藤徳人, 岡村幸太郎, 大石裕, Oleg Louchev, 岩崎雅彦, 和田智之
Organizer
理研シンポジウム 第2回「光量子工学研究」
Place of Presentation
仙台市情報・産業プラザ(AER)
Year and Date
2014-11-24 – 2014-11-25
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[Presentation] コヒーレントライマンα共鳴放射源の高出力化への展望2014
Author(s)
斎藤徳人, 大石裕, 宮崎洸治, 岡村幸太郎, Oleg A. Louchev, 和田智之, 岩崎雅彦
Organizer
超低速ミュオン顕微鏡が拓く物質・生命・素粒子科学のフロンティア第3回領域会議公開シンポジウム
Place of Presentation
仙台市,東北大学
Year and Date
2014-09-23 – 2014-09-25
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[Presentation] 高輝度ライマンα光源の現状2014
Author(s)
大石裕, 中村惇平, 斎藤徳人, 宮崎洸治, 岡村幸太郎, 三宅康博, 岩崎雅彦, 和田智之
Organizer
超低速ミュオン顕微鏡が拓く物質・生命・素粒子科学のフロンティア第3回領域会議公開シンポジウム
Place of Presentation
仙台市, 東北大学
Year and Date
2014-09-23 – 2014-09-25
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[Presentation] 超低速ミュオン生成用コヒーレント光の輸送系と計測系2014
Author(s)
中村惇平, 大石裕, 斎藤徳人, 宮崎洸治, 岡村幸太郎, 足立泰平, 横山幸司, 牧村俊助, 池戸豊, 三宅康博, ストラッサー・パトリック, 長友傑, 友野大, 髭本亘, 河村成肇, 下村浩一郎, 和田智之, 幸田章宏, 小嶋健児, 藤森寛, 門野良典, 西山樟生
Organizer
超低速ミュオン顕微鏡が拓く物質・生命・素粒子科学のフロンティア第3回領域会議公開シンポジウム
Place of Presentation
仙台市, 東北大学
Year and Date
2014-09-23 – 2014-09-25
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[Presentation] Crossing of coherent VUV radiation and thermal muonium emission for the µSR with Ultra Slow Muon,”2014
Author(s)
Junpei Nakamura, Yu Oishi, Norihito Saito, K. M. Kojima, Patrick Strasser, Takashi Nagatomo, Yasuhiro Miyake, Koji Yokoyama, D. Tomono, Koichiro Shimomura, Satosh Wada, Naritoshi Kawamura,, Y. Kobayashi. H. Fujimori, R. Kadono, and K. Nishiyama
Organizer
The 13th International Conference on Muon Spin Rotation, Relaxation and Resonance (µSR 2014)
Place of Presentation
Grindelwald, Switzerland
Year and Date
2014-06-01 – 2014-06-06
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