2013 Fiscal Year Annual Research Report
原子レベル構造解析によるLPSO構造の構造物性発現機構の解明
Project Area | Materials Science of synchronized LPSO structure -Innovative Development of Next-Generation Lightweight Structural Materials- |
Project/Area Number |
23109002
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
乾 晴行 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30213135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 康介 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (10302209)
阿部 英司 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70354222)
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Project Period (FY) |
2011-07-25 – 2016-03-31
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Keywords | 原子配列解析 / 透過電子顕微鏡法 / 3次元アトムプローブ法 / 陽電子消滅実験 / 弾性歪解析 / 規則化 / 積層 / シンクロ型LPSO構造 |
Research Abstract |
濃度変調と構造変調が同期した新規な長周期積層(LPSO)構造(シンクロ型LPSO構造)を示すMg合金Mg-TM-RE(TM=遷移金属,RE=希土類金属)系合金を主として取り上げ,最新の電子顕微鏡法による原子の直接観察と3次元アトムプローブ法,陽電子消滅ドップラー広がり法を組み合わせた新たな解析法により安定構造及び相変態時の原子配列解析を行った. Mg-Al-Gd三元系合金中に存在するMg-Al-Gd系LPSO(OD)相の熱処理による微細構造変化をSTEM直接観察から調べた結果,熱処理により構造ブロックの積層に長周期の規則性が現れ,最終的には,6原子層からなる構造ブロック一つを単位格子とする単斜晶系の1M型MDO多形 (空間群:C2/m)を最安定構造として収斂することをSTEM直接観察により明らかにした.Mg-Zn-Y系LPSO相で新規に発見された10H構造の原子配列の決定も行った.収差補正STEM機による超高分解能HAADF/ABF原子像観察を行うと,平均化されたクラスターABF像には,格子間サイトの存在を強く示唆するコントラストが明瞭に表れており,このサイトはMgが占めていることをあきらかにした.これは,第一原理計算の結果ともよく一致する. 3次元アトムプローブ法により,Mg-Zn-Y系LPSO相の相変態(18R-14H)過程における濃縮層のZn/Y濃度比の変化の解析も行った.573K,120h熱処理試料では離散的に見える濃化層が,673K, 48h熱処理試料では濃化層が何層かに集団化し,熱処理によりMg相に固溶していたZnとY原子が濃化層に集まり,濃化層でのZnとY濃度が高くなり,14Hと18RのLPSO構造の濃化層におけるYの濃度は18Rと14Hでほぼ同じであるが,Znの濃度は18Rで14Hよりも低いことを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
シンクロ型LPSO構造の原子配列解析を目的とした本研究における最重要課題は,(1) TM, RE原子が濃縮した隣接2原子層の積層周期(その規則性と乱れ)と(2) 濃縮2原子層内でのTMおよびRE原子配列を決定することである.前年度までの研究により,濃縮2原子層内でのTMおよびRE原子配列については,Mg-Al-RE系LPSO相のSTEM直接観察から,濃縮は2原子層ではなく4原子層にあること,その単位としてL12型Al6RE8原子クラスターが存在することを明らかにし,いずれの項目も,STEM直接観察により完全に解明することができている.本年度の研究によりシンクロ型LPSO構造の原子配列に関する理解はさらに大きく前進し,長時間の熱処理により濃縮4原子層を含む構造ブロックの積層に長周期の規則性が現れ,熱力学的に安定な構造ブロックの長周期積層規則性を持った最安定構造が存在することが明らかになった.また,この最安定構造が現れる過程における原子移動を伴う構造変化のシークエンスも解明された.また,Mg-Zn-Y系LPSO相で新規に発見された10H構造の原子配列の決定も行うことができ,構造単位としてのL12型原子クラスターの中心(侵入型位置)にMg原子が存在することも明らかにされた.Mg-Al-RE系およびMg-Zn-RE系LPSO相における原子クラスター及びその配列の安定性,密度との相関が次第に明らかにされつつあり,Mg-Zn-RE系LPSO相のZn,RE低濃度側で観察される相変態(18R→14H)との関連が明らかにされつつある.
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Strategy for Future Research Activity |
Mg-Al-RE系LPSO相は面内で長範囲の規則配列構造を取る規則-不規則(O-D: Order-Disorder)構造として記述でき, Mg-Zn-RE系LPSO相はZn,RE濃度が高い場合はMg-Al-RE系LPSO相と同様に規則-不規則構造として,また,Zn,RE濃度が低い場合は積層方向への化学的秩序の相関長が対応する積層秩序に常に同期したシンクロ型LPSO構造として記述できることを明らかにしたため,このような構造の相違を支配する因子の解明を推進している.具体的には,Mg-Al-RE系およびMg-Zn-RE系LPSO相における原子クラスターの相違(L12型原子クラスターあるいはその中心侵入型位置をMgが占めたペロブスガイト型原子クラスター)及びその安定性,これら原子クラスターの配列や密度の相違(Mg-Zn-RE系LPSO相ではより広い組成範囲にわたり存在出来る)とその安定性,これらと構造ブロックを構成する原子層の数との相関,構造ブロックの積層位置の相違とその積層秩序の相違を支配する因子を, STEMによる直接観察,3次元アトムプローブ法,陽電子消滅ドップラー広がり法と第一原理計算をカップルさせながら推進する予定である.特筆すべき研究計画の変更や研究遂行上の問題点はない.
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Research Products
(48 results)