2012 Fiscal Year Annual Research Report
Formation mechanism of synchronized LPSO structures at elevated temperatures
Project Area | Materials Science of synchronized LPSO structure -Innovative Development of Next-Generation Lightweight Structural Materials- |
Project/Area Number |
23109005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥田 浩司 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50214060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯久保 智 九州工業大学, 生命体工学研究科(研究院), 助教 (40414594)
三浦 誠司 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50199949)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 計算状態図 / 実験状態図 / MgYZn / LPSO / 放射光 / フェーズフィールド |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究として,第一原理/計算状態図のグループはMg-(RETM)系hcp固溶体の相分離に関する不安定性解析をおこない,Mg母相中での不安定領域(スピノーダル的組成不安定性)とLPSO形成の関係を検討した. 自由エネルギーモデルを作成するため,第一原理計算から生成エンタルピーを計算し,クラスター展開法により有効相互作用パラメータを算出して自由エネルギー計算に用いた. MgYZn系とMgLaZnの比較の結果,LPSOを形成しないMgLaZn系ではスピノーダル的な自由エネルギー局面が現れないことがに対する自由エネルギー計算から示された. このような第一原理計算からのLPSO安定性の検討と並行して実験状態図としてのLPSO構造の安定領域や,LPSOとの平衡関係を持つ周辺相の共存関係の実験的解明が進められた. 一方Ex-situでの組織観察,熱分析では高温での相形成反応の検証が困難であるため,高温でのその場回折法によるMgZnY合金の解析を目指して液相を含むIn-situ中性子回折の実現を進めた.本年度はMgYZnの融液との反応性の低い中性子用坩堝材の検証実験を進め,測定のための基盤データ取得を完了した. LPSO相の安定性と形成過程を調べるためのツールとして放射光小中角散乱法を用いた組織解析をEx-situ熱処理のMg85Y9Zn6試料に対してすすめ,鋳造多結晶材料の中に現れるLPSO構造の安定性についての解析方法を確立し,熱処理により10H構造の共存から18R単一構造への遷移が起こる過程を面内規則化の進展と同時に解析し,In-situ測定のための基盤を整えた.計算状態図における自由エネルギー評価,実験状態図における共存相評価と平行して本年度は凝固偏析に関するPhaseFieldモデルによプロトタイプを計算し,次年度以降の自由エネルギーの組み込みにより連携をすすめる
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一原理計算による拡張については、LPSOの安定性、形成原理の理解と言う方向での手法として、着実に成果が出ている。 実験状態図についても安定相、準安定相や共存関係といった固相状態における相平衡関係についての知見が着実に蓄積されてきており、これらが合わさってエネルギー差が小さい構造の中でのLPSO構造の選択形成過程の解明が進められている。 液相については実験上の困難から従来研究例が無かったが、量子ビームを利用した今年度までの手法開拓により、液相の関与する温度領域での直接その場測定の実現のための道具立てがほぼ完成するに至っており、放射光、中性子ともに予備データが計画通りで始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の計画として,本年度のMgYZn系(TypeI)での成果をさらに発展させることを目的とし,計画調書に沿ったTypeII,非LPSO型規則構造などのA02-3との連携による状態図的安定性解析を進める. 一方で典型的な合金であるMgYZnに対しては異なる周期をもつLPSO構造間の安定性と共存関係について新たな知見が出つつあり,計算実験両面からの解明を進めることがLPSOの基本的な性格を明らかにする上で重要であると考えている. MgYZn系を中心に,液相の関与するLPSOならびに周辺相の形成過程と,LPSO構造の形成機構を計算と実験の両面から明らかにすることを目指す. 液相の関与するLPSO構造の形成過程と安定性の解明のための基盤的手法開発は今年度ほぼ計画通りに進行しており,次年度に具体的な成果が得られると期待している. 非RE系などの物質探索との連携については現在予備検討を進めている段階であり,次年度以降に着実に試行対象を拡大する予定である.
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