2012 Fiscal Year Annual Research Report
Development of synchronized long-period stacking order structure through non- equilibrium processing
Project Area | Materials Science of synchronized LPSO structure -Innovative Development of Next-Generation Lightweight Structural Materials- |
Project/Area Number |
23109007
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
河村 能人 熊本大学, 先進マグネシウム国際研究センター, 教授 (30250814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 倫昭 熊本大学, 先進マグネシウム国際研究センター, 准教授 (50343885)
松下 正史 愛媛大学, 理工学研究科, 講師 (90432799)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マグネシウム / 長周期積層構造 / 急速凝固 / 高圧場 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成24年度において本計画研究「極限環境下物質合成によるシンクロ型LPSO 構造物質群の拡大」では、(1)常圧場プロセスによるLPSO構造物質群の探索、(2)超急冷場プロセスを利用したLPSO構造物質群の探索、(3) 高圧場プロセスを利用した超高圧LPSO構造物質合成を目的に研究を行い、以下の結果を得た。 (1) 常圧場プロセスでの探索では、(1-1) Mg-RE系合金を対象としたLPSO構造物質探索、(1-2) REフリーMg合金を対象としたLPSO構造物質探索、(1-3) Ti合金系を対象としたLPSO構造物質探索、を行なった。その結果、Mg-Ni-Sm合金鋳造材で18R構造を確認し、LPSO構造物質を形成する元素のクライテリアの拡張を行なった。 (2) 超急冷場プロセスによる探索では、(2-1) 超急冷プロセスによる低固溶REのMg金属における固溶限拡大幅の精密化、(3-2) 超急冷場を用いたMg-RE-X系新規LPSO構造の探索、を行なった。Mg-RE二元系希釈合金急速凝固材を用いた超急冷プロセスによる固溶限拡大効果の精査においては、SmおよびYb添加合金において大きな固溶限拡大幅 (TSSE)が得られた。LPSO構造物質探査においてはMg97Co1Sm2合金中にこれまでに報告の無い底面内クラスター配置を持つ新規相の発見に至った。 (3) 超高圧場プロセスによる研究では、(3-1) Mg-Zn-Y系LPSO相の温度-圧力平面内での安定性調査、(3-2) Mg-Zn-Y系LPSO相の安定性の組成依存性調査、を行なった。高温高圧下でのX線回折実験をSPring-8にて実施し、溶解までの過程をその場観察したところ、高圧下ではLPSO相は不安定化し、常圧下よりも低い温度で崩壊すること、高圧高温下から急冷されたサンプルはLPSO構造を持たないことなどが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)(1) 常圧場プロセスでのシンクロ型LPSO構造物質群探索:REフリーMg合金およびTi基合金を対象とした探索ではLPSO構造物質の発見に至らなかったものの、Mg-RE系合金においてMg-Ni-Sm合金鋳造材で18R構造を確認し、LPSO構造物質を形成する元素のクライテリアの拡張を行うことができた。 (2) 超急冷場プロセスでのシンクロ型LPSO構造物質群探索:Mg-RE二元系希釈合金急速凝固材を用いた超急冷プロセスによる固溶限拡大効果の精査をすることで、SmおよびYb添加合金において大きな固溶限拡大幅(TSSE)が得られることを明らかにした。また、急速凝固Mg97Co1Sm2系合金において、これまでに報告の無い底面内クラスター配置を持つ新規相を発見した。 (3) 超高圧場プロセスによるシンクロ型LPSO構造の安定性についての調査を進め、高圧下での構造変化についての知見を得た。また、3.5GPaでの高温高圧下からの試料回収実験に成功し、X線回折による構造同定作業が順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)常圧場プロセス:Mg-RE系合金、REを含まないMg基合金およびTi基合金での新規LPSO構造物質の探索を計画通り実行する。 (2) 超急冷場プロセス:構築した急速凝固薄帯固化成形プロセスを用いて、過飽和固溶体を前駆体とするLPSO構造物質形成合金の探索を進める。また、急速凝固により得られた過飽和固溶体を前駆体として、通常場の時効析出のみならず、超高圧場を利用した応力誘起析出によるシンクロ型LPSO構造の形成について調査する。 (3)超高圧場プロセス:高圧高温環境でのMg合金の構造を明らかにし、LPSO構造の生成、崩壊のカイネティクスに言及するとともに、新しいLPSO物質の探索を進める。高温・高圧処理によって得られたMg-Zn-Y系合金試料の構造解析を行うにあたり、A02-2班がシミュレーションを担当し、A02-3がX線回折およびTEM観察実験を担当することで相補的に温度圧力平面内でのLPSO安定性および高圧相について研究を進める。
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