2013 Fiscal Year Annual Research Report
極限環境下物質合成によるシンクロ型LPSO構造物質群の拡大
Project Area | Materials Science of synchronized LPSO structure -Innovative Development of Next-Generation Lightweight Structural Materials- |
Project/Area Number |
23109007
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
河村 能人 熊本大学, 先進マグネシウム国際研究センター, 教授 (30250814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 倫昭 熊本大学, 先進マグネシウム国際研究センター, 准教授 (50343885)
松下 正史 愛媛大学, 理工学研究科, 講師 (90432799)
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Project Period (FY) |
2011-07-25 – 2016-03-31
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Keywords | マグネシウム / 長周期積層構造 / 急速凝固 / 高圧場 |
Research Abstract |
本計画研究「極限環境下物質合成によるシンクロ型LPSO 構造物質群の拡大」では、(1)常圧場プロセスによるLPSO構造物質群の探索、(2)超急冷場プロセスを利用したLPSO構造物質群の探索、(3) 高圧場プロセスを利用した超高圧LPSO構造物質合成を目的に研究を行い以下の結果を得た。 (1) 常圧場プロセスでの探索では、(1-1) Mg-RE系合金を対象としたLPSO構造物質探索、(1-2) RE-free Mg合金を対象としたLPSO構造物質探索、(1-3) Zr系, Co系合金を対象としたLPSO構造物質探索を行った。その結果、RE-free Mg合金およびZr基,Co基合金を対象とした探索ではLPSO構造物質の発見に至らなかったものの、Mg75Zn10Y15合金においてシンクロ型10H構造の形成を確認し、さらに500℃熱処理によりOD化することを確認した。 (2) 超急冷場プロセスによる探索では、(2-1) 超急冷プロセスによる低固溶REのMg金属における固溶限拡大幅の精密化と、(2-2) 超急冷場を用いたMg-RE系新規シンクロ型LPSO構造の探索を行った。固溶限拡大効果の精査の結果、SmおよびYb添加合金において大きな固溶限の拡大が確認されたため、 これら元素とGdを添加したMg-(Sm, Gd, Yb)-Co系において探索を行なったところ、Mg-Co-(Sm, Gd)系合金において底面内クラスター配置に新規性を持つ新奇相の発見に至った。 (3)超高圧場プロセスによる新物質探索では、(3-1) 常圧での高温下その場X線回折実験、(3-2) Mg85Zn6Y9系LPSO相の高温高圧処理からの回収試料の構造解析と組織観察を行った。その結果、3GPaでは400℃付近からLPSO相は崩壊するのに対して、7-15GPaでは500℃まで安定であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) 常圧場プロセスでのシンクロ型LPSO構造物質群探索:REフリーMg合金およびTi基合金を対象とした探索ではLPSO構造物質の発見に至らなかったものの、 Mg85Zn10Y15合金において10H型シンクロLPSO相とその熱処理材中にOD化した10H型LPSO相を確認し、Mg-Zn-Y系におけるLPSO相の相安定性についての議論を深めることができた。 (2) 超急冷場プロセスでのシンクロ型LPSO構造物質群探索:急速凝固Mg97Co1(Sm, Gd)2合金において、これまでに報告の無い底面内クラスター配置を持つ新規相を発見した。 (3) 超高圧場プロセスによるシンクロ型LPSO構造の安定性についての調査を進めてきたが、高圧場からの試料回収実験の手法が確立され、それらの実験結果から、Mg85Zn6Y9系LPSO相は、3GPaでは400℃付近からLPSO相が崩壊するのに対して、7-15GPaでは500℃まで安定であることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度に引き続き、計画書に従い以下の通り研究を遂行する。 (1) 常圧場プロセス:Mg-RE系合金、REを含まないMg基合金およびTi基合金での新規LPSO構造物質の探索を計画通り実行する。 (2) 超急冷場プロセス:構築した急速凝固薄帯固化成形プロセスを用いて、過飽和固溶体を前駆体とするLPSO構造物質形成合金の探索を進める。また、急速凝固により得られた過飽和固溶体を前駆体として、通常場の時効析出のみならず、超高圧場を利用した応力誘起析出によるシンクロ型LPSO構造の形成について調査する。 (3) 超高圧場プロセス:H25年度に高圧場からの試料回収プロセスの確立がなされたことから、高圧高温環境でのMg合金の構造を明らかにし、LPSO構造の生成、崩壊のカイネティクスに言及するとともに、新しいLPSO物質の探索を進める。高温・高圧処理によって得られたMg-Zn-Y系合金試料の構造解析を行うにあたり、A02-2班がシミュレーションを担当し、A02-3がX線回折およびTEM観察実験を担当することで相補的に温度圧力平面内でのLPSO安定性および高圧相について研究を進める。。
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Research Products
(93 results)