2014 Fiscal Year Annual Research Report
極限環境下物質合成によるシンクロ型LPSO構造物質群の拡大
Project Area | Materials Science of synchronized LPSO structure -Innovative Development of Next-Generation Lightweight Structural Materials- |
Project/Area Number |
23109007
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
河村 能人 熊本大学, 先進マグネシウム国際研究センター, 教授 (30250814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 倫昭 熊本大学, 先進マグネシウム国際研究センター, 准教授 (50343885)
松下 正史 愛媛大学, 理工学研究科, 講師 (90432799)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マグネシウム / 長周期積層構造 / 急速凝固 / 高圧場 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画「極限環境下物質合成によるシンクロ型LPSO構造物質群の拡大」では、(1) 常圧場プロセスでのシンクロ型LPSO構造物質群探索、(2) 超急冷場プロセスでのシンクロ型LPSO構造物質群探索、(3) 超高圧場プロセスによる シンクロ型LPSO構造物質群探索を目的に実験を行い、以下の結果を得た。 (1) 常圧場プロセスでの物質群探索では、Mg-Sn-X系、Mg-Ca-X系合金を対象に調査した。新たなLPSO構造物質を発見するには至らなかったものの、上記合金系において形成する相を明らかにすることができた。 (2) 超急冷場プロセスでの物質群探索では、Mg-Co-Zn, Mg-Ni-Zn, Mg-Ca-Ga, Mg-Cu-Ca, Mg-Zn-Ca系を対象に調査を行なったが、新たなLPSO構造物質の発見には至らなかった。しかしながら、Mg-Zn-Ca系及びMg-Co-Zn系において急速凝固後の熱処理により単相固溶体を形成することが明らかになり、LPSO構造物質を形成する可能性を持った系を見出すことができた。また、LPSO相単相組成であるMg85Zn6Y9合金アモファス相からのLPSO相析出挙動が、二段析出であることを明らかにした。 (3) 超高圧場プロセスによる物質群探索では、Mg-Zn-Yb系合金を5GPa, 400℃の超高圧熱処理することで新奇なシンクロ型LPSO構造が形成することを明らかにした。この新奇相はhcp構造を基本として6層周期で濃度変調が生じていると考えられるX線回折を示しているものの、hcp-Mgの基本反射も保持しており、従来のLPSO構造物質とは大きく異なると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) 常圧場プロセスでのシンクロ型LPSO構造物質群探索:REフリーMg合金およびTi合金を対象とした探索では新たなLPSO構造物質の発見には至らなかったものの、Mg-Ca-X系、Mg-Sn-X系合金における形成相を明らかにすることができた。 (2) 超急冷場プロセスでのシンクロ型LPSO構造物質群探索:REフリーMg合金を対象とした探索を行なったものの新たなLPSO構造物質の発見には至らなかった。しかしながら、Mg-Zn-Ca系及びMg-Co-Zn系において急速凝固後の熱処理により単相固溶体を形成することが明らかになり、LPSO構造物質を形成する可能性を持った系を見出すことができた。また、LPSO相単相となる組成であるMg85Zn6Y9合金に急速凝固を施すことでアモファス相を形成させ、そのアモルファス相からのLPSO相析出挙動を調査し、基礎的知見を得た。 (3) 超高圧場プロセスによる シンクロ型LPSO構造物質群探索:Mg-Zn-Yb系合金に5GPa, 400℃の超高圧熱処理を施すことで新奇なシンクロ型LPSO構造を発見するに至った。本合金は、A02-3における同定作業によりこれまでに報告されているLPSO相と異なることが明らかとなったため、A01班でのより詳細な構造解析が現在進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に引き続き、計画書に従い以下の通り研究を遂行する。また、新たに発見されたLPSO相の形成条件等を詳細に調査する研究を新たに実施する。 (1) 常圧場プロセス;REを含まないMg基合金およびTi基合金での新奇LPSO構造物質の探索を計画通り実行する。 (2) 超急冷場プロセス:急速凝固により得られた過飽和固溶体を前駆体として、通常場での析出現象や、高温高圧環境での応力誘起析出現象を利用した新物質探索を継続する。また、LPSO相単相組成であるMg85Zn6Y9合金アモファス相からのLPSO相析出挙動をより詳細に調査する。 (3) 超高圧場プロセス:超高圧場合成により新たに発見されたMg-Zn-Yb系シンクロ型LPSO構造物質の構造解析をA01班と連携しながら進めるとともに、その形成条件をより詳細に調査する。また、新たな合金成分での超高圧場合成を継続して進める。
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Research Products
(101 results)