2011 Fiscal Year Annual Research Report
数理形態学と階層構造科学の融合による積層構造体の力学特性発現機構の解明
Project Area | Materials Science of synchronized LPSO structure -Innovative Development of Next-Generation Lightweight Structural Materials- |
Project/Area Number |
23109010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中谷 彰宏 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50252606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 英治 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (80180280)
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Keywords | 格子欠陥 / 構造・機能材料 / 透過型電子顕微 / 変形体力学 / 非線形力学 |
Research Abstract |
実験・計測科学と計算力学の融合研究によって,シンクロ型LPSO構造を起源とする物質系の力学特性と変形メカニズムを解明し,高次不整合を媒介とする新しい理論体系を確立する.そのさらなる普遍化・体系化により,新しい変形・力学理論の構築を行うことを目的とする.平成23年度は以下の研究を実施した. 離散転位塑性論の枠組みを拡張した回位モデルによる高次の離散欠陥塑性論の定式化を行い,複数の回位を用いてキンク変形が表現できることを示した.また非弾性変形に伴う原子構造変化のメカニズムを明らかにするために,モデルポテンシャルを用いた解析のための定式化と弾性特性およびフォノン分散特性に関する理論研究を行った.さらに圧縮を受ける積層構造体の不安定変形の初期不整依存性についてのモデル実験と積層構造体に対する極限解析を行い,キンク変形の成長の基本メカニズムを検討した. シンクロ型LPSO構造の変形特性を微視的視点から解明するために,材料の研磨から光学顕微鏡・電子顕微鏡観察を含む一連の実験手法を確立した.また原子レベルの計算機シミュレーションにより得られた原子構造データ,および,線形弾性論に基づぐ回位の周りの特異弾性場に対して,実験観察手法を適用する技術を確立した.研究成果は,実際にLPSO構造のキンク帯において計測される画像に基づく原子構造・弾性変位場の予測や高次欠陥構造のキャラクタリゼーションの礎となると期待される. 以上のように,数理形態学と階層構造科学の融合により積層構造体の力学特性発現機構の解明と新しい変形・力学理論を構築に向けた有益な成果を得ることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり「高次不整合構造解析装置」を大阪大学に、「Mg合金用振動式自動研磨機」を九州大学に初年度に速やかに導入して研究に着手し,当初予定していなかった領域内の計画研究との合同研究会を年度内に実施することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
実験研究では,総括班から提供されるさまざまな条件で生成された共通試料に対して系統的な観察を行う.計算研究では,特に外力の作用による原子の集団運動によるキンク変形モードの出現の可能性を理論的に明らかにする.さらに実験・計測科学と計算力学の融合研究を推進する.
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