2013 Fiscal Year Annual Research Report
神経活動制御におけるHNK-1を中心としたN型糖鎖機能の解析
Project Area | Deciphering sugar chain-based signals regulating integrative neuronal functions |
Project/Area Number |
23110006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡 昌吾 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60233300)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 ナナ 国立医薬品食品衛生研究所, その他部局等, その他 (20186167)
竹松 弘 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80324680)
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Project Period (FY) |
2011-07-25 – 2016-03-31
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Keywords | HNK-1糖鎖 / シナプス可塑性 / AMPA受容体 / O-マンノース型糖鎖 / N型糖鎖 |
Research Abstract |
1) HNK-1糖鎖に関する機能解析 HNK-1糖鎖は特徴的な硫酸化グルクロン酸を糖鎖末端に有し、その生合成にはグルクロン酸転移酵素(GlcAT-P)が主に関与している。その遺伝子欠損マウスでは脳内の大部分のHNK-1糖鎖が消失し、スパイン形成異常やシナプス可塑性の低下を伴う記憶学習能力の低下が観察された。現在までの研究により一部の神経機能異常はシナプス後部で機能するAMPA型グルタミン酸受容体GluA2に存在するN型糖鎖上のHNK-1糖鎖に起因することが明らかとなっている。本年度はHNK-1糖鎖の関与する脳の高次機構調節機構の全体像を明らかにすることを目的として、O型HNK-1の主なキャリア分子の同定および糖鎖構造の解析を行った。その結果、O型HNK-1の主なキャリア分子がホスファカンであることを同定した。また、その糖鎖構造を質量分析により解析した結果、マンノースを還元末端に持つ、いわゆるO-マンノース型糖鎖上に存在することが明らかとなった。 2) N型糖鎖によるシナプス可塑性の制御機構に関する研究 AMPA受容体はGluA1~4のサブユニットからなるヘテロ四量体として存在し、シナプス後膜での量的変化によりシナプス可塑性が調節されていると考えられている。本年度は実際の脳内に存在するAMPA受容体の主要な構成サブユニットであるGluA1を精製し、それぞれの糖鎖付加部位ごとにどのような糖鎖が発現しているのかを質量分析で解析した(部位特異的な糖鎖構造の解析は川崎博士との共同研究)。その結果、N末端に近い側の糖鎖付加部位には主に高マンノース型糖鎖が存在し、リガンドとの結合部位に近い側の糖鎖付加部位には複合型糖鎖が存在していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者は糖鎖が担う神経機能制御機構の解明を目指して研究を進めている。従来申請者が研究を進めていたHNK-1糖鎖に関する解析結果としては、ホスファカンと呼ばれるコンドロイチン硫酸プロテオグリカン分子のO-マンノース型糖鎖上に存在することを明らかにした。また、ペリニューロナルネット上には従来知られていなかった新しいHNK-1糖鎖が存在していること等を明らかにし、概ね順調に研究が達成されている。また、シナプス可塑性調節に重要なAMPA型グルタミン酸受容体に存在するN型糖鎖の解析では、その主要な構成サブユニットであるGluA1とGLuA2の糖鎖付加部位変異体を作成し、細胞表面発現量、チャネル機能への変化、細胞表面での側方移動に対する影響を解析し、特定の糖鎖付加部位変異体で影響が観察されることを明らかにした。また、今年度は脳内で実際にどのような構造のN型糖鎖が発現しているのかについてGluA1について明らかにした。次年度は同様の解析をGluA2についての行い、糖鎖付加部位変異体で観察された影響がどのような構造の糖鎖によって担われているのかを明らかにする。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までにシナプス可塑性調節に関わるN型糖鎖の役割についての解析はAMPA受容体を中心に研究を進めてきた。しかし、NMDA受容体もシナプス可塑性調節には中心的な役割を担うことが知られている。実際にNMDA受容体の必須サブユニットであるGluN1上には通常あまり存在しない高マンノース型糖鎖が非常に多く存在することを見出した。また、その発現制御にはGluN1のC末端領域が重要であることを示す結果を得ているので、今後この制御に関与するタンパク質を明らかにするとともに、GluN1の高マンノース型糖鎖がNMDA受容体の機能においてどのような役割を担っているのかについての解析を行う。また、ペリニューロナルネット(PNN)に存在するHNK-1糖鎖についてはPNNのマーカーとして知られているWFAとの2重染色により、PNNのうちの一部の抑制制神経細胞にのみ発現していることが明らかになっている。そこで、今後はHNK-1糖鎖が発現する抑制制神経細胞の特徴(神経細胞の種類を含め)を領域内のPNNの専門家である神野博士との共同研究により明らかにし、PNNにおけるHNK-1糖鎖の機能の解明につなげていく。
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Research Products
(22 results)
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[Journal Article] Structural and biochemical characterization of O-mannose-linked HNK-1 glycan expressed on phosphacan in developing mouse brains.2014
Author(s)
Morise J, Kizuka Y, Yabuno K, Tonoyama Y, Hashii N, Kawasaki N, Manya H, Miyagoe-Suzuki Y, Takeda S, Endo T, Maeda N, Takematsu H, and Oka S.
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Journal Title
Glycobiology
Volume: 24
Pages: 314-324
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Functional evaluation of activation-dependent alterations in the sialoglycan composition of T cells.2014
Author(s)
Naito-Matsui Y, Takada S, Kano Y, Iyoda T, Sugai M, Shimizu A, Inaba K, Nitschke L, Tsubata T, Oka S, Kozutsumi Y, and Takematsu H.
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Journal Title
J. Biol. Chem.
Volume: 289
Pages: 1564-1579
DOI
Peer Reviewed
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