2011 Fiscal Year Annual Research Report
高次脳神経機能におけるシナプス可塑性の神経細胞外微小環境による制御機構の解明
Project Area | Deciphering sugar chain-based signals regulating integrative neuronal functions |
Project/Area Number |
23110010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
高宮 考悟 宮崎大学, 医学部, 教授 (40283767)
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Keywords | 糖鎖 / 神経 / シナプス可塑性 / 学習・記憶 / 細胞外マトリックス |
Research Abstract |
本年度は、初年度ということもあり、各プロジェクトの基礎となるデータの収集を行うことを中心として研究を行った。まずグルタミン酸受容体の糖鎖修飾に関しては、糖鎖の酵素処理と電気生理学的手法を組み合わせて、糖鎖修飾がチャンネル活性に大きな影響を及ぼすことが明らかとなった。さらにグルタミン酸受容体のうちAMPA型受容体に焦点を絞って、どの部位が糖鎖修飾を受けチャンネル活性に影響を与えるのかを、遺伝子上でアミノ酸変異を加えることにより大まかな責任部位を同定することができた。以上は、細胞株にAMPA型受容体のサブユニットであるGluA1遺伝子を導入することにより解析された。さらに培養神経細胞を用いることにより、より生体内に近い状態での糖鎖修飾のグルタミン酸受容体のチャンネル活性への影響を解析した。その結果より神経細胞においても糖鎖修飾のチャンネル活性制御への重要性が明らかとなった上に、その複雑な制御機構も示唆された。またAMPA受容体と細胞内結合タンパク質であるGRIPを介して結合する可能性のあるプロテオグリカンであるFras-1に関して、その脳における機能がほとんど解析されていなかったが、Fras-1に対する抗体を作製し脳組織科学染色を行ったところ、特徴的な染色パターンが明らかとなりGRIPとの機能的な相互関係が示唆された。また共同研究として細胞膜におけるLipid raft構造におけるAMPA型受容体の解析を行い、膜上に存在する糖脂質であるガングリオシドとAMPA型受容体のLipid raftにおける共存を確認できた。今後、これらの局在が神経活動に依存してどのような制御をうけるのかを検討する予定である。その他の計画したプロジェクトに関しては、その遂行に必須である技術的システムを立ち上げた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた研究のうちグルタミン酸受容体の糖鎖修飾による機能制御に関する研究が予想以上に進展したため、その他のプロジェクトが遅れがちであるが、全体的におおむね予定通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおりグルタミン酸受容体の糖鎖修飾による機能制御機構と細胞外マトリックスにおける糖鎖によるグルタミン酸受容体のシナプスへの局在への関与、プロテオグリカンの神経機能への制御機構などシナプス可塑性という観点から解析をすすめていく。
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