2014 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄環境の恒常性維持とその破綻:グリアー神経連関からみた神経変性機序の解明
Project Area | Brain Environment |
Project/Area Number |
23111006
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山中 宏二 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (80446533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三澤 日出巳 慶應義塾大学, 薬学部, 教授 (80219617)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 神経変性疾患 / グリア / 環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では筋萎縮性側索硬化症(ALS)を病態モデルシステムとして、神経変性に対する生体応答の主役としてのグリア細胞による変性神経細胞の認識機構や生体応答機構、病巣の伝播機構の解明を目指す。 自然免疫関連遺伝子であるTRIF依存性のToll様受容体経路の神経変性における役割を検討し、変性ニューロン、グリア細胞の認識、応答経路を探索した。TRIFを欠損したALSマウスでは、疾患進行が加速し、脊髄への免疫細胞の浸潤が著明に減少するとともに、異常な形態をとるアストロサイトが蓄積していることを見いだした。TRIF欠損ALSマウスでは、異常アストロサイトに細胞死が誘導できず、細胞が蓄積していることが、病勢の増悪の一因と考えられる。また、ALSモデルマウスのアストロサイトにおいて過剰産生されるサイトカインTGF-beta1はその病勢増悪因子であることを明らかにした。さらに、ALSにおける運動ニューロン(MN)のサブタイプ選択性変性でのオステオポンチン(OPN)の役割を解析するため, OPNのMNマーカーとしての有用性およびALSマウスにおけるMN脆弱性との関連を検討した。OPNは, 近年注目されている白筋(FF)タイプMNマーカーであるMMP-9とは異なる細胞集団に発現していた。また, 赤筋及び白筋への逆行性神経トレーサー注入による運動単位特異的な標識, および筋線維タイプの分別染色により, OPNは赤筋(FR/S)タイプMNに特異的に発現することを見出した。ALSマウス各病期の脊髄における免疫染色では, 病気の進行に伴いMMP-9陽性MNの数が最初に減少し, その後OPN陽性MNの数が減少する傾向が見られた。またALS発症前及び発症期において, 野生型マウスではほとんど観察されないOPN及びMMP-9共陽性のMN(二重陽性MN)が観察された. この二重陽性MNは, FFタイプMNの変性の後に代償的にリモデリングしたFR/S MNであることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究室移転を昨年度に終え、今年度は実験動物の移動を概ね完了した状態であり、必要な実験が遂行できた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は最終年度となるため、これまでの研究の取りまとめに留意しつつ着実に研究をすすめたい。
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[Journal Article] SIRT1 overexpression ameliorates a mouse model of SOD1-linked amyotrophic lateral sclerosis via HSF1/HSP70i chaperone system.2014
Author(s)
WATANABE Seiji, AGETA-ISHIHARA Natsumi, NAGATSU Shinji, TAKAO Keizo, KOMINE Okiru, ENDO Fumito, MIYAKAWA Tsuyoshi, MISAWA Hidemi, TAKAHASHI Ryosuke, KINOSHITA Makoto, YAMANAKA Koji
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Journal Title
Molecular Brain
Volume: 7
Pages: 62
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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