2012 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular imaging of neurotoxic signaling in neurodegenerative disorders
Project Area | Brain Environment |
Project/Area Number |
23111009
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
樋口 真人 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, チームリーダー (10373359)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 神経科学 / 生体分子 / 認知症 / 脳疾患研究 / 薬学 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 毒性因子であるタウタンパク蓄積と神経毒性発揮メカニズムの解明 多くの神経変性疾患における脳内環境の「汚染物質」となるタウタンパクの神経毒性発揮メカニズムを解明する目的で、タウトランスジェニックマウス脳サンプルの生化学的解析を行った。その結果、神経細胞死が起こりやすい部位では、起こりにくい部位に比して可溶性タウの蓄積が多く、しかもユビキチン化を通じたオートファジー分解や封入体への隔離が十分に行われていない可能性が示唆された。さらに神経細胞死が起こりにくい部位では、ユビキチン結合タンパクでオートファジーを担う分子であるp62が可溶性タウと同じ画分に存在するのに加えて、タウ封入体にp62が豊富に含まれることが分かった。従って、可溶性タウをオートファジー分解や封入体への隔離に導くのに、p62が重要な枠割を担いうることが示された。
2) 神経傷害性ミクログリアに関連する炎症性ケモカイン受容体の解析 神経傷害性ミクログリアでは保護的ミクログリアに比して種々の炎症性ケモカインの放出が増加することを、前年度の研究で明らかにしたが、中でも放出増加が最も著しかったCCL2の受容体であるCCR2について、本年度は解析を行った。CCR2の抗体を独自に作製し、免疫染色を実施したところ、アルツハイマー病患モデルであるアミロイド前駆体タンパクトランスジェニックマウスやタウトランスジェニックマウスの脳において、ニューロンおよびグリアのCCR2が増加していた。また、RI標識CCL2を用いたオートラジオグラフィーを施行し、アルツハイマー病患者脳でもCCR2が増加することが示された。従って、神経傷害をもたらす炎症シグナリングに、傷害性ミクログリアからのCCL2放出と、受け手のCCR2増加が関与すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、神経毒性因子による脳内環境破綻メカニズムの解明や、炎症シグナリングによる神経傷害メカニズムに関与する因子が同定されてきている。こうしたメカニズムの中で中心的役割を果たす因子の解析がさらに進めば、同因子を標的としたイメージングプローブを開発することで、最終的な目標の一つである脳内環境破綻の画像バイオマーカー確立が実現すると見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 毒性因子であるタウタンパク蓄積と神経毒性発揮メカニズムの解明 可溶性タウタンパクのオートファジー分解や封入体への隔離にp62が関与しうることが示されたので、タウトランスジェニックマウスとp62欠損マウスを交配し、p62欠損タウトランスジェニックマウスを作製して、神経細胞死が加速して脳萎縮が増悪するかどうかや、神経炎症が強まるかどうかを、生体イメージングにより明らかにする。
2) 神経傷害性ミクログリアに関連する炎症性ケモカイン受容体の解析 CCR2が神経傷害をもたらす炎症シグナリングに関与することが示されたので、CCR2欠損マウスを導入し、アミロイド前駆体タンパクトランスジェニックマウスやタウトランスジェニックマウスと交配して、経時的イメージングを主体とした解析により、CCR2がアルツハイマー病理形成に及ぼす影響を明らかにする。
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[Journal Article] Deficiency of schnurri-2, an MHC enhancer binding protein, induces mild chronic inflammation in the brain and confers molecular, neuronal, and behavioral phenotypes related to schizophrenia2013
Author(s)
Takao K, Kobayashi K, Hagihara H, Ohira K, Shoji H, Hattori S, Koshimizu H, Umemori J, Toyama K, Nakamura HK, Kuroiwa M, Maeda J, Atsuzawa K, Esaki K, Yamaguchi S, Furuya S, Takagi T, Walton NM, Hayashi N, Suzuki H, Higuchi M, Usuda N, Suhara T, Nishi A, Matsumoto M, Ishii S, Miyakawa T.
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Journal Title
Neuropsychopharmacology
Volume: 38
Pages: 1409-1425
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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