2012 Fiscal Year Annual Research Report
Live-cell 3D imaging analysis of the dynamics of epithelial cells and functional molecules in epithelial tubular formation
Project Area | Regulation of polarity signaling during morphogenesis, remodeling, and breakdown of epithelial tubular structure |
Project/Area Number |
23112005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大橋 一正 東北大学, 生命科学研究科, 准教授 (10312539)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 機械的シグナル / 上皮細胞 / アクチン骨格 / Rho / GEF / 管腔形成 / コフィリン |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに、3次元培養下における乳腺上皮MCF10A細胞の細胞外マトリックスの硬さ依存的な形質転換に寄与するRho-GEFとしてFarp-1(CDEP)を同定していた。Farp-1は分子内にFREMドメインを有し、細胞接着因子と結合して機能することが示唆されるため解析を進めた。まず、Farp-1に結合する蛋白質の探索を行った。Haloタグを付加したFarp-1を恒常的に発現させた乳腺由来細胞を用い、プロテオミクス解析を行った結果、Farp-1にインテグリンが結合していることが明らかとなった。MCF10A細胞においてFarp-1をインテグリンと共に過剰発現させることによりストレスファイバー形成が誘導されることが明らかとなり、Farp-1は、外環境の硬さに対してインテグリンからのシグナルによって活性化されることが示唆された。また、Farp-1の不活性型や各ドメインの欠失変異体をイヌ腎上皮MCDK細胞に発現させマトリゲル内で3次元培養を行ってシストを形成させた結果、シスト形態が乱れる場合や内腔が形成されない場合が多く観察され、Farp-1は、シストを形成する細胞集団における細胞極性や細胞接着の制御に寄与している可能性が示唆された。また、シストや管腔形成の過程を3次元で可視化するため、細胞接着、細胞骨格、細胞極性を可視化するマーカー分子を発現したMDCK細胞株を樹立し、シスト形成の初期段階である内腔の頂端面が形成される過程を3次元で可視化することができるようになった。しかし、計画した細胞-基質間、細胞間にかかる機械的な力負荷を可視化するFRETプローブはさらなる改良が必要であることが明らかとなった。また、領域内の菊池らと連携し、EGFとWntによって管腔の伸長を誘導することができるラット腸上皮細胞を用いた管腔形成、伸長過程の3次元タイムラプス解析の検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3次元培養下における乳腺上皮MCF10A細胞の細胞外マトリックスの硬さ依存的な形質転換に寄与するRho-GEFとして同定したものの中で、Farp-1は、FERMドメインを有し細胞接着に関与することが示唆されたことから解析を進めた。計画に従い、Farp-1に結合する蛋白質をプロテオミクス解析により探索し、インテグリンを含むいくつかの蛋白質を同定することに成功した。この発見からFarp-1を中心としたシグナル伝達経路の解析を進めていく次の段階に進んだ。また、上皮細胞の管腔形成過程を3次元タイムラプス解析によって可視化する方法について、アクチン骨格や頂底極性を観察する方法を確立した。計画を進めている細胞-基質間、細胞間のかかる機械的な力を可視化するFRETプローブの開発は、報告された方法では検出感度が低く、目的とするRho-GEFの3次元タイムラプスによる機能解析に用いることができないことが明らかとなり、観察方法の改善とプローブの改良を進めている。この解析は困難が予想されており、実現できなかった場合は既存の3次元タイムラプス解析に用いるプローブを組み合わせて解析することにより相補できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進計画では、インテグリンとFarp-1の結合ドメインを決定し、これらの分子の相互作用が乳腺上皮MCF10A細胞の細胞外基質の硬さ依存的な形質転換に果たす機能を解析する。また、Farp-1が活性化するRhoファミリー分子について、現在得られている結果と過去の報告は矛盾する点があり、Farp-1が他のRhoファミリー分子を活性化する可能性も高いため、Farp-1が活性化するRhoファミリー分子を網羅的に探索し同定する。これらの解析からFarp-1を介した細胞外基質の硬さ依存的なMCF10A細胞の形質転換に至るシグナル経路を明らかにする。同時に、MDCK細胞のシスト形成過程におけるRhoファミリーの活性変化や細胞にかかる力の作用を可視化するFRETプローブの開発とそれを用いた3次元可視化解析の確立を引き続き行う。さらに、同領域の菊池らと連携し、ラット腸上皮細胞のWntと EGF刺激による管腔形成モデルを用い、管腔の伸長時のアクチン骨格、細胞極性の動的変化の3次元タイムラプス解析を行う。これらのモデルを用いてコフィリン、LIMキナーゼ、Slingshotによるアクチン骨格の再構築制御の管腔形成過程における機能を解析する。また、ラット腸上皮細胞にFarp-1の過剰発現、発現抑制、インテグリンとの結合できない変異体の過剰発現を行い、管腔形成、伸長に対する効果を解析しFarp-1の機能を明らかにする。さらに、MDCK細胞、ラット腸上皮細胞を用い、上皮細胞がシストから管腔構造を伸長させる時の細胞間の機械的な力負荷の変化とその応答においてFarp-1が寄与する可能性を考え検証を行う。
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Research Products
(13 results)