2014 Fiscal Year Annual Research Report
上皮管腔形成過程における細胞動態と機能分子動態の3次元イメージング解析
Project Area | Regulation of polarity signaling during morphogenesis, remodeling, and breakdown of epithelial tubular structure |
Project/Area Number |
23112005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大橋 一正 東北大学, 生命科学研究科, 准教授 (10312539)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 上皮細胞 / 機械的シグナル / アクチン骨格 / Rho / GEF |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、乳腺上皮MCF10A細胞の細胞外マトリックスの硬さ依存的な形質転換に関与するRho-GEFとして同定したFarp1について研究を進め、Farp1はN末端のFERMドメインを介してインテグリンに結合し、上皮細胞の基質への接着依存的な細胞増殖に寄与することを明らかにしてきた。本年度は、接着時の仮足形成やDorsal stress fiberの形成にFarp1が寄与することを明らかにし、Farp1は細胞外基質への接着時に、Racの活性化を誘導することでこれらの応答に寄与することが示唆された。また、Farp1の結合蛋白質としてAnnexin A2を同定し、Annexin A2によってFarp1のイヌ腎上皮MDCK細胞の細胞間接着部位への集積が促進されることを明らかにした。また、Farp1の過剰発現は、MDCK細胞におけるTight junction(TJ)形成を促進し、Annexin A2とFarp1との共発現によってTJの形成がさらに促進されること示唆する結果が得られた。また、繰り返し伸展刺激による血管内皮細胞の配向に必要なRho-GEFとして同定したSoloが、上皮細胞に対する力負荷刺激によるRhoAの活性化に寄与することを明らかにした。さらに、Soloが細胞間接着に依存した機械的刺激に応答して細胞の配向に寄与することを明らかにした。また、アクチン脱重合因子であるコフィリンの脱リン酸化酵素(活性化因子)であるSlingshot-1が、Insulin receptor substrate 4(IRS-4)と結合することを見出し、この結合がインスリン刺激によって引き起こされるコフィリンの脱リン酸化を促進することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度までに、Farp1の上皮細胞の基質への接着における下流シグナルの解析を行い、細胞-基質間接着においてはRacを活性化して働くことを明らかにした。また、Farp1の結合蛋白質の探索を行い、Annexin A2が結合することを見出し、上皮細胞の極性化に寄与する細胞間接着形成におけるFarp1の作用機構の解析が進みつつある。さらに、細胞にかかる機械的力負荷刺激に対する上皮細胞の応答にRho-GEFであるSoloが関与することを見出し、Soloが、機械的力刺激によるRhoAの活性化に寄与すること、細胞集団における集団の配向に細胞間接着を介して寄与することを明らかにした。これらの結果から、上皮管腔形成過程における細胞のアクチン骨格の時空間的な再構築機構の新たな分子機構の発見が期待される。また、MDCK細胞を用いた細胞外マトリックス上の集団移動と3次元環境下の管腔形成の実験方法を確立し、3次元タイムラプスイメージング解析を進めている。細胞-基質間、細胞間接着部位にかかる張力を可視化するFRETプローブの開発は未だ達成できていないが、リン酸化ビンキュリン、2重リン酸化ミオシンの抗体を用いた染色により力負荷のかかった細胞間を検出する実験方法を確立した。これらの状況から、概ね計画は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 上皮細胞の基質への接着よる増殖におけるFarp1の機能解析:機械的力の作用によって増殖を制御することが示唆されているHippoシグナルとFarp1との関連を解析する。Hippoシグナルによって細胞内と核内の局在が制御されているYapを指標に、Farp1の発現抑制、欠失変異体の過剰発現によるYapの局在変化に対する影響を解析する。特に、MDCK細胞の3次元環境下における管腔形成過程において、Yapの局在の変化との関係を解析し、Farp1の管腔における細胞増殖の時空間的制御の可能性を検討する。 2. 上皮細胞の秩序化、管腔形成におけるSoloの機能解析:機械的力負荷刺激によるRhoAの活性化を制御するRho-GEFであるSoloについて、上皮細胞が集団となって移動する時の細胞の秩序ある運動における機能を解析する。MDCK 細胞においてSoloの発現抑制、欠失変異体の過剰発現を行い、MDCK 細胞の集団内の個々の細胞の動きを解析し、力の作用による細胞集団の秩序化におけるSoloの機能を解析する。また、3次元環境下におけるMDCK細胞の管腔形成において、内腔の大きさ、管腔の分岐、伸長方向の制御におけるSoloの機能を解析する。 3. 上皮細胞の細胞-基質間、細胞間にかかる力の可視化技術の確立:上皮細胞の極性化時、及び、管腔形成時における細胞間接着部位にかかる機械的力負荷の可視化を引き続き取り組む。これまでに、リン酸化ビンキュリンと2重リン酸化されたミオシン軽鎖を抗体により検出する方法を確立した。Farp1とSoloの発現抑制、欠失変異体の過剰発現による管腔形成の異常とこれらのリン酸化された分子の局在の変化を解析する。さらに、これらの部位の動的変化を解析するために、リアルタイムで細胞に機械的力負荷のかかる部位を可視化するFRETプローブ をミオシンIIの重鎖を用いて開発する。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Rho-guanine nucleotide exchange factors involved in cyclic stretch-induced reorientation of vascular endothelial cells.2015
Author(s)
Abiko, H., Fujiwara, S., Ohashi, K., Hiatari, R., Mashiko, T., Sakamoto, N., Sato, M., and Mizuno, K.
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Journal Title
J. Cell Sci.
Volume: in press
Pages: in press
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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