2011 Fiscal Year Annual Research Report
がん微少環境における細胞老化の役割とその制御機構の解明
Project Area | Integrative Research on Cancer Microenvironment Network |
Project/Area Number |
23112101
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
原 英二 公益財団法人がん研究会, がん研究所・がん生物部, 部長 (80263268)
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Keywords | 遺伝子 / 癌 / ゲノム / シグナル伝達 / 発現制御 |
Research Abstract |
がん微小環境はがんの進展に重要な役割を果たしていると考えられているが、その詳細については不明な点が多い。我々はこれまで、インビボ・イメージングによりがん抑制機構として知られる細胞老化が生体内の何処で、いつ、どの程度、起こっているのかを調べた結果、驚いたことにがん組織に細胞老化を起こした細胞(老化細胞)が存在していることを見出した。これまで細胞老化はがん抑制機構として機能していると考えられてきたが、最近の研究により、細胞老化を起こしてしばらくすると、発がん促進作用がある様々な分泌性蛋白質を高発現するSASPという現象を起こすようになることが明らかになってきている。このため、がん微小環境に存在する老化細胞がSASPを介して発がんを促進しているのではないかという着想に至った。そこで、本年度は先ず、細胞老化が起こると、何故SASPが起こるようになるのかについて研究を行い、以下の結果を得た。(1)細胞老化の原因となるDNA損傷が起こると、ATMによりユビキチンリガーゼであるAPC/C-Cdh1が活性化され、ヒストンメチル化酵素であるG9a及びGLPの蛋白分解が促進される。(2)G9a/GLPはユークロマチンの遺伝子発現抑制を司るヒストン3リジン9のジメチル化(H3K9me2)レベルの維持に必須であるため、老化細胞ではH3K9me2レベルの低下が起こり、その結果、SASP因子の発現が上昇する。以上の結果によりがん微小環境に存在する老化細胞がH3K9me2レベルの低下を介してSASPを起こすことでがんの進展を促進している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたSASP誘導機構を明らかにしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はSASPを起こす老化細胞をマウスの生体から除去した場合に起こる生体変化を詳細に観察することで、細胞老化と発がんの関係を明らかにして行く予定である。また、SASPを抑制する方法の開発に関しても検討して行く予定である。
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Research Products
(5 results)