2013 Fiscal Year Annual Research Report
がん微少環境における細胞老化の役割とその制御機構の解明
Project Area | Integrative Research on Cancer Microenvironment Network |
Project/Area Number |
23112101
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
原 英二 公益財団法人がん研究会, がん研究所がん生物部, 部長 (80263268)
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Project Period (FY) |
2011-07-21 – 2015-03-31
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Keywords | 発がん / 細胞老化 / がん微小環境 / 液性因子 |
Research Abstract |
細胞老化のがん微小環境における役割の解明を目指し、本年度は以下の研究結果を得た。 (1)主要なSASP構成因子の一つであるIL-6を欠損したノックアウトマウスでは肥満に伴う肝がんの発症および進展の程度が野生型マウスに比べて殆ど差がなかったが、SASPの誘導因子として知られるIL-1betaを欠損したノックアウトマウスでは肥満に伴う肝がんの発症および進展の程度が著しく低下することが分かった。肥満マウスの肝臓で細胞老化を起こしているのは間質細胞の一つである肝星細胞であるため、これらの結果は肥満に伴い細胞老化を起こした間質細胞がSASPを介して肝実質細胞のがん化および進展を促進していることを強く示唆している。 (2)細胞老化に伴い発現レベルが上昇する遺伝子の一つであるp16INK4a遺伝子座の第一エキソンをジフテリアトキシンレセプターとGFPとの融合タンパク質(DTR-GFP)をコードする遺伝子に置き換えたノックインマウスの作成に成功した。このマウスから繊維芽細胞を調整し、継代培養により細胞老化を誘導すると、GFPシグナルが検出されるようになった。更にこれらの細胞にジフテリアトキシンを投与することでGFPを発現する細胞は死滅するが、GFPを未だ発現していない継代回数の少ない増殖中の非老化細胞は死滅しないことを確認した。以上の結果はこのDTR-GFPノックインマウスを用いることで生体内に蓄積した老化細胞をじょけできる可能性が高いことを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究によりがん微小環境を構成する老化細胞がSASP因子を介して肝がんの進展を促進していることが初めて明らかになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
SASP因子のがん微小環境に及ぼす役割の詳細を解明するために肥満させたIL-1betaノックアウトマウスにおけるがんの進展状況を野生型マウスの進展状況と比較検討する。 また、ジフテリアトキシンレセプターノックインマウスを用いて様々な状況下で老化細胞を除去した場合に起こるがんの進展状況を調べることで、細胞老化のがん微小環境に及ぼす役割を明らかにすることを目指す。
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Research Products
(5 results)