2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Correlative gene system: establishing next-generation genetics |
Project/Area Number |
23113002
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
高山 誠司 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (70273836)
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Project Period (FY) |
2011-07-25 – 2016-03-31
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Keywords | 遺伝学 / 遺伝子 / ゲノム / 植物 / 進化 / エピジェネティクス / 自家不和合性 / 優劣性 |
Research Abstract |
以下2項目のゲノム遺伝子相関現象の解明を目的として研究を行った。 1.対立遺伝子間におけるエピジェネティックな優劣性発現制御機構の解明 アブラナ科植物の花粉因子複対立遺伝子間の優劣性に低分子RNAを介した遺伝子発現制御が関わる例を発見した。しかし、発見した低分子RNAでは複雑な優劣性関係の一部しか説明できない。本機構の優劣性制御への普遍的関与を検証するために、葯発現低分子RNAを網羅的に解析し、新たな低分子RNA候補を複数見出した。さらに、これら低分子RNAの前駆体からのプロセッシング様式と標的プロモーターとの相同性により、優劣性関係が矛盾無く説明できることを見出した。現在、新たな低分子RNA候補の関与に関する検証実験を継続している。また、低分子RNAを介した劣性側対立遺伝子の発現抑制機構を詳細に解析するため、シロイヌナズナを用いて本優劣性現象が再現できるか確認した。その結果、導入した劣性側対立遺伝子のプロモーター領域のみでは低分子RNAによる強力な発現抑制は確認されず、周辺のゲノム領域の構造が本発現制御に重要である可能性が示唆された。 2.遺伝子重複を介した非自己対立遺伝子認識機構の解明 ナス科植物Petunia hybridaを対象に、超並列シーケンサーを用いて非自己S-RNaseの認識に関わる花粉因子SLFsを網羅的に探索した。また、同定したSLFs候補が、すべてS-RNaseとS遺伝子座上で連鎖することを明らかにした。また、形質転換実験により、新たに複数のSLFs候補が花粉因子として機能することを証明した。さらに、バラ科、オオバコ科、ナス科のSLFs配列を比較解析することにより、これらがS-RNaseと共に単一の分子種から進化してきた可能性を明らかにした。また、SLFsが構成するSCF複合体を同定し、これが特定の非自己S-RNaseをユビキチン化することを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.対立遺伝子間におけるエピジェネティックな優劣性発現制御機構の解明 新たに同定した低分子RNAにより解析対象としている複対立遺伝子間の優劣性が矛盾無く説明でき、申請時の第1目標である本機構の普遍的関与が証明できる見通しとなった。形質転換体の作出も進んでおり、これら低分子RNAの関与が実証できるものと期待している。 2.遺伝子重複を介した非自己対立遺伝子認識機構の解明 非自己雌ずい因子の認識に関わる花粉因子を網羅的に同定することに成功し、それらの関与も形質転換法により証明されてきている。複数のハプロタイプで網羅的に花粉因子の配列を解明できたために、これらの遺伝子配列の比較解析データから非自己認識システムの進化の経緯についても新たな知見が得られてきている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.対立遺伝子間におけるエピジェネティックな優劣性発現制御機構の解明 アブラナ科植物Brassica rapaの花粉因子複対立遺伝子間の優劣性については、低分子RNAを介したエピジェネティックな制御機構が普遍的に関与していることが強く示唆されてきた。形質転換実験等による機能証明結果を待って報告する予定である。複対立遺伝子間の優劣性は、花粉因子のみならず雌ずい因子側にも認められる。雌ずい因子発現への類似の機構の関与を解析する。また、Arabidopsis属の自家不和合性種など他の植物を対象に類似の解析を進め、本機構のさらなる普遍的関与を検証すると共に、こうした優劣性制御系の進化の経緯を解明する。 2.遺伝子重複を介した非自己対立遺伝子認識機構の解明 複数のハプロタイプ由来の花粉因子遺伝子の網羅的解析データをさらに精査し、それらを比較解析することにより本非自己認識システムの進化モデルを提唱する。また、ナス科、バラ科植物の非自己認識システムを介した自家不和合性機構を分子レベルで解明する。
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[Journal Article] A pollen coat-inducible autoinhibited Ca2+-ATPase expressed in stigmatic papilla cells Is required for compatible pollination in the Brassicaceae2014
Author(s)
Meguni Iwano, Motoko Igarashi, Yoshiaki Tarutani, Pulla Kaothien-Nakayama, Hideki Nakayama, Hideki Moriyama, Ryo Yakabe, Tetsuyuki Entani, Hiroko Shimosato-Asano, Masao Ueki, Gen Tamiya, Seiji Takayama
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Journal Title
Plant Cell
Volume: 26
Pages: 636-649
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Ca2+-activated reactive oxygen species production by Arabidopsis RbohH and RbohJ is essential for proper pollen tube tip growth2014
Author(s)
Hidetaka Kaya, Ryo Nakajima, Megumi Iwano, Masahiro M. Kanaoka, Sachie Kimura, Seiji Takeda, Tomoko Kawarazaki, Eriko Senzaki, Yuki Hamamura, Tetsuya Higashiyama, Seiji Takayama, Mitsutomo Abe, Kazuyuki Kuchitsu
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Journal Title
Plant Cell
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Cell type-specific transcriptome of Brassicaceae stigmatic papilla cells from a combination of laser microdissection and RNA sequencing2013
Author(s)
Masaaki Osaka, Tomoki Matsuda, Satomi Sakazono, Hiromi Masuko-Suzuki, Shunsuke Maeda, Misato Sewaki, Mikako Sone, Hirokazu Takahashi, Mikio Nakazono, Megumi Iwano, Seiji Takayama, Kentaro K. Shimizu, Kentaro Yano, Yong Pyo Lim, Go Suzuki, Keita Suwabe, Masao Watanabe
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Journal Title
Plant Cell Physiolosy
Volume: 54
Pages: 1894-1906
DOI
Peer Reviewed
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