2012 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanisms of genomic incompatibility and reproductive isolation in sticklebacks
Project Area | Correlative gene system: establishing next-generation genetics |
Project/Area Number |
23113007
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
北野 潤 国立遺伝学研究所, 新分野創造センター, 特任准教授 (80346105)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 性染色体 / 種分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
異種トゲウオ間の雑種異常と種分化の研究のモデルとして、北海道東部に生息する汽水トミヨ、淡水トミヨ、エゾトミヨの三種のトゲウオ種群について、遺伝的分化と表現型分化を解析し、これら三種が下流から上流へ棲み分けて共存していること、三種間での交雑が極めて稀にしか生じないことを報告した。また、これら三種が異なる塩分耐性能をもつことを見いだし、下流から上流にかけて生息しているトゲウオの海水耐性が順次低下していくことを見いだした。一方、捕食防御に関わる鱗板(体の側面の骨化組織)の変異は、単純な上流-下流勾配にそった変異はみられず、また、その遺伝基盤は近縁のイトヨ属とは異なる遺伝子で決定されていることが明らかになった。イトヨ属では、Eda遺伝子が鱗板をコントロールしていることが既に知られているが、トミヨ属ではEda遺伝型と鱗板表現型に相関は見られなかった。これらについて論文報告した。 全ゲノム解読とQTL解析によって、日本のイトヨ種群の雑種異常の候補遺伝子を複数同定し、現在機能解析中である。 ネオ性染色体のゲノム解析を行い、ネオY染色体の退縮が軽微であること、SNPレベルではネオX染色体とネオY染色体間で分化が起こっており、その一部がシス変異によって雌雄間の遺伝子発現差を生み出しているようであること、ネオX染色体の一部の遺伝子は急速進化(非同義置換率の上昇)を示していることを明らかにした。この成果について、現在、論文投稿の準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既に10報以上の査読付き論文が国際雑誌に掲載、あるいは、受理されている。 まず、イトヨ種群における雑種異常と種分化の候補遺伝子が既に複数見いだされており、これらの機能解析に取りかかっている。 さらに、これらの普遍性を明らかにするためにトミヨやメダカといった別の分類群における研究にも着手した。 ネオ性染色体のゲノム上の特徴については既に研究の大部分が完了しており、論文執筆の段階に入っている。また、ネオ性染色体のさらなる研究のために海外との共同研究も開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
日本のイトヨ種群における雑種不妊の候補遺伝子の機能解析を押し進める。具体的には、試験管内での精製タンパクの機能解析とトランスジェニックイトヨを用いた機能解析を行う。また、トミヨ等他の分類群でも同様の遺伝子が関与しているかどうか、その普遍性を検証する。
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