2011 Fiscal Year Annual Research Report
rDNAの不安定性が染色体及び細胞機能に与える影響
Project Area | Functions of non-coding DNA region for genome integrity |
Project/Area Number |
23114002
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
小林 武彦 国立遺伝学研究所, 細胞遺伝研究系, 教授 (40270475)
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Keywords | 細胞老化 / 非コードDNA / 非コードDNA / 組換え / 出芽酵母 / リボソームRNA遺伝子 / インターメア / 反復配列 |
Research Abstract |
rDNAの安定性、コピー数が異常な変異株の同定 リボソームRNA遺伝子(rDNA)は、同一配列が100コピー以上繰り返して存在し、染色体の大きな領域(酵母の場合は12番の60%)を占める巨大反復配列である。そのためrDNAは最大級の脆弱部位となり、その状態(安定性、コピー数)が染色体全体の安定性に影響を与え、細胞老化やDNAダメージ耐性の低下を引き起こすことが知られている。本研究ではrDNAの安定化に関わる因子を網羅的に同定し、rDNAに起因した染色体全体の安定性の低下を防ぐネットワーク機構、その破綻が細胞機能に与える影響について酵母と動物細胞を用いて解析する。 昨年度は計画通り、出芽酵母の遺伝子欠損ライブラリー(Openbiosystems社)約4,800株について、rDNAの安定性及びコピー数が異常になる変異株を網羅的に同定した。具体的な方法としては、パルスフィールド電気泳動法を用い、rDNAを持つ12番染色体のバンドの形、位置の変化を解析した。当初2年をかけて終了する予定であったが、方法の改良により効率化に成功し、初年度にてほぼ終了することができた。結果として、約200株のrDNA不安定株、8株のrDNAコピー数異常増加株を単離した。今後バックグラウンドの異なる株でこれらの変異株の表現型を再検証し、表現型が安定した株については遺伝解析等により、それぞれがrDNA安定性に関わる分子機構を解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
出芽酵母の遺伝子欠損ライブラリー(Openbiosystems社)約4,800株について、rDNAの安定性及びコピー数が異常になる変異株を網羅的に同定したが、当初の予定では1年半以上を要すると考えていたが、電気泳動の効率化に成功し1年弱で終了できた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ特段の問題はなく、きわめて順調に進行している。今後は計画通り、得られた変異株を解析し、rDNAの安定化機構の解明を目指す。既にrDNAのコピー数が異常増加した株1株については、その遺伝子の性質から、コピー数維持の1つのメカニズムを解明しつつある。得られた情報は領域内で公開し、共同研究を強力に押し進める。
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Research Products
(13 results)