2013 Fiscal Year Annual Research Report
rDNAの不安定性が染色体及び細胞機能に与える影響
Project Area | Functions of non-coding DNA region for genome integrity |
Project/Area Number |
23114002
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
小林 武彦 国立遺伝学研究所, 細胞遺伝研究系, 教授 (40270475)
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Project Period (FY) |
2011-07-25 – 2016-03-31
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Keywords | 非コードDNA / DNAの組換え / 出芽酵母 / リボソームRNA遺伝子 / インターメア / クロマチン構造 / 細胞老化 / 反復配列 |
Research Abstract |
リボソームRNA遺伝子(rDNA)は、同一配列が100コピー以上繰り返して存在し、染色体の大きな領域(酵母の場合は12番の60%)を占める巨大反復配列である。rDNAはコピー間の組換えが起こりやすく最大級の脆弱部位となり、その状態の変化が染色体全体に影響を与え、細胞老化やDNAダメージ耐性の低下を引き起こす。本研究ではrDNAの安定化に関わる因子を網羅的に同定し、rDNAに起因した染色体不安定性を防ぐネットワーク機構、またその破綻が細胞機能に与える影響について、酵母と動物細胞を用いて解析する。 <rDNA修復場の同定、クロマチン構造との関連> これまで出芽酵母の遺伝子欠損ライブラリー約4,800株について、rDNAの安定性及びコピー数が異常になる変異株を網羅的に同定した。その中に核膜孔の遺伝子がいくつか含まれていた。そこで計画通りrDNAの修復に核膜孔のタンパク質が関わっているか調べた。その結果、野生株では2本鎖切断を誘導する複製阻害活性に依存してrDNAは核膜孔のタンパク質と結合した。またTel1やHtz1などの修復時にクロマチン構造の変化をもたらすタンパク質の欠損株ではrDNAの核膜孔への移動が起こらなくなった。さらにrDNAの凝縮に関わる因子の欠損株でも同様に移動が抑えられた。以上のことからrDNAの修復はクロマチン構造の変化と核膜孔への移動に依存し行われていることが判明した。現在論文作成準備中である。 <動物細胞でのrDNAの解析> ヒト及びマウスの細胞で、酵母に存在するrDNAの組換え修復に関わる配列及び因子の同定に成功した。配列は制限酵素Sal1の認識配列を含む約20bpの配列で複数個存在する。そこに結合する因子はTTF1と呼ばれるrDNAの転写終結に関わる因子で、これをノックダウンすると複製阻害が起こらなくなった。現在論文作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた実験をほぼ予定通りに行ない、期待通りの結果を得られた。「rDNA修復場の同定」では、新しいrDNA維持機構を解明できた。動物細胞のrDNAの解析も複製の進行状況をモニターできる系が確立でき、今後さらなる進展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までのところ特段の問題はなく、きわめて順調に進行している。 今回明らかになったrDNA修復場として核膜孔が働いていることが、染色体分配や娘細胞の初期化とどのようなかかわり合いを持っているのかが、今後興味深いテーマである。 動物細胞のrDNAの解析では、酵母でrDNAの組換えに働いている複製阻害装置の存在が確認されたことから、それがrDNAの安定性と如何に関わっているかを解析する。
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Research Products
(13 results)
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[Presentation] いきものの寿命2013
Author(s)
小林武彦
Organizer
三島市市民公開講座・遺伝学普及会連携事業
Place of Presentation
静岡県三島市
Year and Date
20131116-20131116
Invited
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