2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Functions of non-coding DNA region for genome integrity |
Project/Area Number |
23114005
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
中山 潤一 名古屋市立大学, 大学院システム自然科学研究科, 准教授 (60373338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須賀 則之 明星大学, 理工学部, 准教授 (00396219)
有吉 眞理子 京都大学, 物質ー細胞統合システム拠点, 特任准教授 (80437243)
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Project Period (FY) |
2011-07-25 – 2016-03-31
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Keywords | 非コードDNA / 染色体 / ヘテロクロマチン / HP1 |
Research Abstract |
【1】非コードDNAによるヘテロクロマチン化の解析(担当:中山):非コードDNAの動態と染色体機能の関連を明らかにするため、分裂酵母の三番染色体の両端に存在するrDNAリピートを人為的に改変しその影響を調べた。その結果、rDNAのリピート数が大きく減少しても染色体機能や細胞増殖にはほとんど影響を与えないが、rDNA領域が染色体両腕に存在していることが正常な減数分裂に必要である事を明らかにした。 【2】非コードDNAと高次クロマチン化の構造基盤の解明(担当:有吉・須賀):昨年度までの解析によって提唱した「リン酸化によるHP1α-ヒストンH3結合阻害モデル」を検証するため、本年度は全長HP1αを用いて、リン酸化の有無による変化をNMRとヒストン結合実験によって解析した。その結果、全長HP1αを用いた場合においても上記モデルを示唆するデーターを得ることに成功した(有吉)。二価カチオン存在下で再構成ヌクレオソームと共沈降させる解析法を応用することで、HP1がH3K9メチル化非依存的なヌクレオソーム結合能を有する事、HP1サブタイプ間で結合特性が異なる事を明らかにした。また、HP1を人為的に出芽酵母内で発現させることで、HP1がヌクレオソームの占有率が低いインタージェニック領域にH3K9メチル化非依存的に結合する事を見出した。併せて、HP1を発現させることで出芽酵母に生育阻害(コロニー形成阻害とマーカープラスミドの欠落)を引き起こすことを明らかにした(須賀)。 【3】ヘテロクロマチン構造制御の分子機構(担当:中山):HP1のクロマチン結合とリン酸化制御の関連を探るため、再構成ヌクレオソームへのリン酸化HP1の結合を解析した。その結果、N末端のリン酸化はメチル化H3への結合を促進するだけでなく、DNAとの結合を負に制御することでヌクレオソーム結合の特異性を高めている事を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分裂酵母をモデルとした研究によって、非コードDNA領域の存在自体が減数分裂時の染色体動態に寄与していることを示唆する結果が得られたことは高く評価できると考えている。また、本年度の構造学的(有吉)、生化学的(中山)な解析によって、N末端側のリン酸化がどのようにHP1とH3K9メチル化ヌクレオソームとの結合を制御しているのか、その詳細な分子機構が明らかにできたことは画期的な成果であると考えられる。また、HP1の機能全体を把握するには、H3K9メチル化非依存的な機能の理解も重要であり、須賀らのグループの成果はHP1機能の新たな側面を明らかにできたものであると評価される。
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Strategy for Future Research Activity |
当初提案した研究課題に関しては、それぞれ着実に成果が得られており、計画通り研究を進めるとともに、論文をとりまとめる方向で研究を推進する予定である。また、非コードDNAの増幅がどのようにヘテロクロマチン化と核内構造の変化を引き起こすのかを明らかにするため、霊長目の非コードDNAの解析を行っている研究者を新たな分担者として加え、研究目的の達成を目指したいと考えている。
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Research Products
(20 results)