2011 Fiscal Year Annual Research Report
レトロトランスポゾンがもたらす非コードDNA領域のクロマチン構造変化
Project Area | Functions of non-coding DNA region for genome integrity |
Project/Area Number |
23114006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
梶川 正樹 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 講師 (90361766)
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Keywords | 転移因子 / レトロトランスポゾン |
Research Abstract |
ゼブラフィッシュのゲノム中には数十種類の転移因子(LINE)配列が存在する。これらの転移因子は、それぞれのコピー数が数個から数十個のものが多く、多いものでも数百コピー程度である。この少ないコピー数は、転移因子のクロマチン構造解析に適している。また、これらの転移因子配列は、それらのコンセンサス配列に非常によく似たグループ(ごく最近に増幅した配列である)と、コンセンサス配列とかなり異なるグループ(以前に増幅した配列である)が存在する。これを利用して、転移因子の増幅時期と、クロマチン構造に及ぼす影響の解析が可能となる。本年度は、これらゼブラフィッシュのゲノム中に存在する転移因子が宿主ゲノムのクロマチン構造に及ぼす変化を解析することを目的とし、ゼブラフィッシュ転移因子のクロマチン構造を解析するため解析系をゼブラフィッシュの培養細胞を用いて構築した。この解析系を用いて、培養細胞内での転移因子のクロマチン状態を解析して、ごく最近転移した転移因子グループは、大部分が抑制性のクロマチン状態を保持していることを明らかにした。 しかし一方で、抑制性のクロマチン構造をしていないであろうグループの転移因子も存在することが示唆された。今後、これらの違いが何によってもたらされているのか解明を目指す。 転移因子の発現は様々なストレスと関与していることが指摘されている。したがって、様々なストレスが転移因子のクロマチン構造変化に影響を及ぼす可能性がある。本年は上記の解析系を用いて、熱ストレスとクロマチン構造変化の解析を行った。その結果、本研究の培養細胞においては、熱ストレスでクロマチン構造の変化が引き起こされる結果は観察されなかった。次年度は、その他のストレスに関する解析を行う計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、新規挿入転移因子を持つ培養細胞構築を行う計画であったが、研究内容の重要性からゼブラフィッシュのゲノム中に存在する転移因子のクロマチン構造解析の実験系を構築した。上記培養細胞の作出は来年度行う計画である。当初計画と異なるが、ゼブラフィッシュ細胞を用いた今後の研究に有用な転移因子クロマチン構造解析系の構築に成功したことから、自己評価を(2)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度構築したゼブラフィッシュ培養細胞での転移因子のクロマチン構造解析系を用い、ゼブラフィッシュ転移因子のクロマチン構造解析を行う。また、ゼブラフィッシュ生体での転移因子のクロマチン構造解析を目指す。さらには、次年度作出予定の新規挿入転移因子配列を持つ培養細胞を用いた宿主ゲノムのクロマチン構造解析により、転移因子の新規挿入が引き起こすクロマチン構造変化を解析する。
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Research Products
(4 results)