2011 Fiscal Year Annual Research Report
セントロメア構成因子によるクロマチンネットワークの解析
Project Area | Functions of non-coding DNA region for genome integrity |
Project/Area Number |
23114008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Kazusa DNA Research Institute |
Principal Investigator |
舛本 寛 公益財団法人かずさDNA研究所, ヒトゲノム研究部, 室長 (70229384)
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Keywords | 非コードDNA / セントロメア / ヒト人工染色体 / クロマチン / 反復DNA |
Research Abstract |
本研究では、多様なゲノムの機能が非コードDNAを介して如何に連係しながら維持・制御されているのか統合的に理解することを目標としている。本年度は人工染色体を用いて染色体の様々な機能をつくり出し、セントロメアと染色体諸機能との連係を統御するクロマチンネットワーク機構を解明することを目指して以下の研究を進めた。1.セントロメア機能構成因子の集合メカニズム:セントロメアタンパク質群の階層的集合メカニズムを明らかにするため、セントロメア機能集合のマーカーであるCENP-Aを指標にすることにより、この集合に関わる因子のスクリーニングを進めた。かずさcDNAライブラリーを利用して多様なセントロメアタンパク質やクロマチン修飾関連因子をtetR-融合タンパク質として発現させ、tetO-配列異所的染色体挿入部位へ結合させた。その結果、tetR-融合HAT(ヒストンアセチル化酵素)の一つは新規セントロメア機能構造形成に関わる因子であることを発見した。さらに、このHATは、これまで明らかにされている因子であるMis18複合体とHJURPとの間の経路でCENP-A集合に関わることを明らかにした(Ohzeki et al,EMBOJ,2012)。この他にもセントロメア機能構造の集合に関わる因子が多数見つかってきており、他の染色体の機能に共通する因子の関与についても解析を進めている。2.構成的手法によるクロマチンネットワーク解析:人工染色体を解析手法に用いて、セントロメアと複製、転写、組換え、損傷修復などの染色体諸機能との連係について研究を進めるために、中山,小林、太田、高田各班と協力して技術講習会を開いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は当初からの計画通り順調に進展しており、その成果の一部は既にいくつかの論文の形にまとまって来ている(Ohzeki et al 2012,Bergman et al 2012,Bergman et al 2011,Kim et al 2011)。特に、Ohzeki et al 2012の成果では,新たにHATの一つがMis18複合体とHJURPの間でCENP-Aクロマチンの集合に関わっていることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
本新学術領域研究の目標は、多様なゲノムの機能が非コードDNAを介して如何に連係しながら維持・制御されているのか統合的に理解することである。染色体分配機能に関わるセントロメアは、反復DNA領域に形成され、非コードDNAと染色体機能との連係機構に迫る絶好の標的である。しかし、必ずしもセントロメア構成因子が反復DNAに対して1:1の配列特異性のみで集合する訳ではない。このセントロメアの反復DNAにはヘテロクロマチンも集合し、セントロメア機能制御との関わりが指摘されており、さらに染色体の維持制御ネットワークの主要センターとしても注目される。そこで本研究では、人工染色体を用い染色体の様々な機能をつくり出し、セントロメアとヘテロクロマチン、染色体諸機能との連係を統御するクロマチンネットワーク機構の解明を進め、高次生命現象の制御メカニズムの実体に迫ることを目標とする。
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Research Products
(11 results)