2011 Fiscal Year Annual Research Report
少数分子生体システムの再構成-複合体構成分子の数の制御と理論検証-
Project Area | Spying minority in biological phenomena -Toward bridging dynamics between individual and ensemble processes- |
Project/Area Number |
23115008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今田 勝巳 大阪大学, 理学研究科, 教授 (40346143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南野 徹 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (20402993)
内橋 貴之 金沢大学, 数物科学系, 准教授 (30326300)
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Keywords | 分子機械 / 生物物理 / ナノバイオ / 生体分子 / 蛋白質 |
Research Abstract |
細菌べん毛蛋白質輸送システムは多機能性分子で構成され、各々が少数分子のターンオーバーにより機能する。本研究では、このシステムを再構築し、システムの構造を明らかにすると共に、構成要素の数、種類、エネルギー源に操作を加えて応答を観測し、構成サブユニットがターンオーバーしながら作動する機構、基質蛋白質数をモニターしながら発現系にフィードバックする機構の解明を目指している。以下に今年度の成果を記す。 ・輸送システムの再構築のために、FliO,FliP,FliQ,FliRの4種類およびさらにFlhA、FlhBの6種類の膜蛋白質を共発現するプラスミドを作成した。しかし、大腸菌内で4種類を共発現させると溶菌した。また、個々の遺伝子を別々に発現させた場合も、増殖が著しく減少あるいは停止した。一方、無細胞発現を試みたところ、FliO、FliQについて成功した。 ・FlhA-CFPのべん毛基部局在を解析した結果、FlhB,FliF,FliO,FliP,FliQ,FliRが欠損すると、局在しないが、可溶性成分のfliH,FliI,FliJが存在しなくても局在することが判明した。 ・輸送シャペロンFliT、FlgNと輸送装置蛋白質の相互作用を調べなところ、FliTがFliIの異なる場所に結合し、輸送基質の有無により結合場所が変わることがわかった。また、FlgNとFlhAの相互作用を見い出し、その部位も特定した。さらにFlgNがFliTと同様にC末領域で相互作用相手とその強さを制御することを示唆する結果が得られた。 ・細胞観察用の広範囲スキャナーおよび高速AFM/蛍光顕微鏡複合装置の設計と製作を行った。テコの原理に基づく変位拡大機構を用いて40μm×40μmの範囲を観察できるスキャナーを設計、製作した。逆伝達関数法によるスキャナーの振動抑制を行い、10秒以下の高速イメージングを達成し大腸菌の観察とリゾチームによる枯草菌の溶菌過程の観察に成功した。複合機の製作は、レンズ駆動を見直してミラー駆動による光学トラッキングを導入し、動作確認後、ミラー駆動を採用したスタンドアローン型高速AFMを試作した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
基部体精製に必須な高圧ホモジェナイザーの納入が、メーカーの都合により当初予定より大幅に遅れ、輸送装置複合体精製条件の探索が進まなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
細菌から輸送装置複合体の単離精製を行う。その際、サルモネラ菌だけでなく、ペプチドグリカン層が薄くて柔らかいビブリオ菌についても試みる。 六種類の膜蛋白質の発現精製を無細胞システムで試みる。 高速AFM/蛍光顕微鏡複合装置の動作確認と性能評価を行い、実際にAFM像と蛍光像を同視野かつ同時観察できるようにする。これを用いて、大腸菌のべん毛成長過程の観察を試みる。
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