2011 Fiscal Year Annual Research Report
メゾ回路編成における軸索分岐リモデリングの制御機構
Project Area | Mesoscopic neurocircuitry: towards understanding of the functional and structural basis of brain information processing |
Project/Area Number |
23115102
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 亘彦 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (00191429)
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Keywords | 軸索分岐 / 視床 / 大脳 / 神経活動 / 軸索誘導 / ネトリン / 受容体 |
Research Abstract |
視床から大脳への軸索投射は、発達期の神経活動によって修飾されることが古くから知られている。これまでに、私たちはin vitroのモデル系において、皮質自発発火活動とそれに伴うシナプス活動の活発化に伴い視床軸索の枝分れ形成が促進されることを明らかにしてきた。この結果に基づいて、神経活動依存的な視床皮質投射の分子機構に関して、標的層に存在する軸索分岐促進因子が神経活動の上昇により発現を増大されるとする仮説を掲げた。昨年度までに、この条件を満たす分子としてネトリン4を見出した。また、ネトリン4がin vitroで視床軸索の枝分れを促進すること、ネトリン4欠損動物において視床軸索の分岐の減弱のあることが示唆された。本年度はさらに、その神経活動依存性を明らかにするために、in vivoならびにin vitroの系で、視覚環境の変化や薬理学的な実験を行った。まず、視覚環境の変化として、3週間正常明暗サイクル下、3週間暗環境下、暗環境下後1日明環境の3つの条件で、ネトリン4の発現量を調べた。その結果、暗環境ではネトリン4発現細胞の数は顕著に減少するのに対して、暗環境下後1日明環境では逆に有為に増加した。また、TTXによる神経活動をブロックした皮質切片では発現が減少し、KC1添加による脱分極により増加した。加えて、視床にネトリン4の候補受容体が発現することが見出された。以上から、ネトリン4は神経活動依存的にその発現量を変化させ、発達期における視床皮質軸索の神経活動依存的な分岐形成に貢献していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
視床皮質軸索の枝分れ形成における神経活動依存的な分子機構の探索ならびに神経活動依存的な分子発現の様相が進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の計画遂行にあたり大きな変更はないが、トランスジェニックマウスの作製がやや遅れていることもあり、プローモーターアッセイなどによりネトリン4の神経活動依存的発現の機構を推進することを計画している。
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Research Products
(4 results)