2012 Fiscal Year Annual Research Report
Coupring mechanism of methionine metabolism and epigenome
Project Area | Crosstalk of transcriptional control and energy pathways by hub metabolites |
Project/Area Number |
23116003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
五十嵐 和彦 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00250738)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 発現制御 / 発生・分化 / プロテオーム / マイクロアレイ / 免疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、methionine adenosyltransferase II (MATII)について、以下の実験を行った。(1)細胞内局在の制御: MATIIは触媒サブユニットαと機能未知サブユニットβのヘテロオリゴマーとして存在する。前年度の実験からMATIIαの核局在はβにより促進されることを解明したが、split Venusの系を用いることにより、α-βのオリゴマーは主に核に存在することを証明した。α分子上で核局在に必須の7アミノ酸領域を同定し、これがβとの結合に必須であることを証明した。(2)複合体構成因子の同定とその機能:αサブユニットを線維芽細胞で発現し、その複合体構成因子を免疫沈降法で調べた。MATIIはヒストンメチル化酵素SETDB1と複合体を形成することを見いだした。さらに、アレイ実験によりMATII-SETDB1複合体の標的遺伝子として、これまで知られていたヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)遺伝子に加え、シクロオキシゲナーゼ-2(Cox-2/Ptgs2)を見いだした。MATIIはCox-2遺伝子領域のヒストンH3K9トリメチル化に必要であること、プロモーターやエンハンサー領域にMATIIとSETDB1が動員されることも証明した。これらの知見は、クロマチン上でMATIIによるS-adenosylmethionine (SAM)生合成とSAMを基質とするヒストンメチル化の共役機構を初めて示したものである。クロマチン制御におけるSAMの地産地消機構を提唱した。さらに、αサブユニットを形質細胞株で発現し、その複合体を精製、構成因子を高感度質量分析計にて同定した。転写因子、クロマチン制御因子に加え、DNA複製や修復に関わる因子を多数同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
split Venusを用いてMATIIの核局在化の分子機構を解明できた。MATII-SETDB1相互作用を証明し、クロマチン制御におけるSAMの地産地消機構を提唱できた。MATII複合体を形質細胞からきれいに精製し、今後焦点をあてるべき因子群を抽出することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通りに進める。α上で特定したβの相互作用部位についてさらに解析を進め、相互作用を壊す点変異あるいは最小欠失を同定し、組み換えタンパク質を用いて酵素活性を測定する。酵素活性に影響をしめさないものについて、条件的遺伝子挿入、あるいは、トランスジェニックレスキュー法などを用いて、個体レベルで核移行能を欠くMATIIαを発現するマウスを作出する。また、SETDB1以外のMATII結合因子について、機能解析を進める。
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Research Products
(3 results)