2011 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチン変換による代謝リプログラミングの分子基盤
Project Area | Crosstalk of transcriptional control and energy pathways by hub metabolites |
Project/Area Number |
23116009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中尾 光善 熊本大学, 発生医学研究所, 教授 (00217663)
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Keywords | 代謝調節 / クロマチン / 遺伝子発現 / リジン脱メチル化 / DNAメチル化 / フラビン |
Research Abstract |
エピジェネティクス機構は、刺激の受容で行われる短期応答、そして、刺激が消失した後にも刺激を受容した記憶を維持する長期応答を通して、遺伝子制御に働いている。他方、転写不活性なクロマチンに位置する遺伝子は、刺激に対して不応になり得る。この転写環境としてのエピゲノム制御には、DNAメチル化とクロマチンの形成が関わり、代謝恒常性の維持と破綻に重要な役割を果たしている。本研究では、生命素子と転写環境の観点から、DNAおよびリジン残基のメチル化・脱メチル化によるクロマチン変換に着目した研究を行い、代謝のリプログラミングの分子基盤を解明することを目的とする。LSD1は、ヒストンH3の4番目リジン残基の脱メチル化酵素であり、その酵素活性にフラビン(FAD)が補酵素として不可欠であることが知られている。LSD1が脂肪細胞で高く発現することを見出し、それを契機として、エネルギー消費を調節する新規機序を明らかにした。RNA干渉法や化合物を用いたLSD1阻害によって、脂肪細胞のエネルギー消費遺伝子の発現が誘導され、その結果、ミトコンドリア機能とエネルギー代謝が向上することが判明した。FAD合成経路またはFAD細胞内取込みの阻害によっても、LSD1阻害時と同様の効果が得られることも明らかになった。エピジェネティクス機構の観点から、代謝リプログラミングと病態における新しい知見を提示し、その作動原理と生命活動における意義について解明を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
リジン脱メチル化酵素LSD1によるエネルギー代謝遺伝子の制御について、新知見を得て、最先端の論文発表等の成果が出たため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、当初の計画以上に進展しているため、研究計画の変更なしに推進する。
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