2011 Fiscal Year Annual Research Report
病態時の脈管のダイナミックスを制御する脂質メディエーターの解析と治療への応用
Project Area | Machineries of bioactive lipids in homeostasis and diseases |
Project/Area Number |
23116102
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
馬嶋 正隆 北里大学, 医学部, 教授 (70181641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 朋恵 北里大学, 医学部, 講師 (20296510)
細野 加奈子 北里大学, 医学部, 助教 (80532556)
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Keywords | トロンボキサン / 血管新生 / 血小板 / セレクチン / 微小循環 / 虚血モデル / TP受容体 / IP受容体 |
Research Abstract |
1)下肢虚血時のTPノックアウトマウス(TP-/-)における血管新生の抑制 下肢虚血後、野生型マウスでは(WT)4週間にわたって徐々に虚血からの回復がみられた。これに対し、TP-/-では虚血からの回復が有意に遅延した。下肢虚血筋での血管密度をCD31染色で定量しても、TP-/-では有意な低下がみられた。TP-/-の骨髄細胞を移植した骨髄キメラマウスで同様の検討を行ったところ、対照野生型キメラマウスに比べTP-/-骨髄キメラマウスで、虚血からの回復が有意に遅延し、血管密度を定量しても、TP-/-骨髄キメラマウスで対照野生型キメラマウスに比べ有意な低下がみられた。 2)下肢虚血時のTP-/-における虚血血管床に対する血小板接着の減少 生体顕微鏡観察では、虚血前のWT、TP-/-、IP-/-下肢筋肉毛細血管には、血小板の接着はほとんど認められなかったが、虚血の処置をすると血小板接着がWTでは早期から認められた。これに比し、TP-/-では血小板接着が強く抑制されていた。血管内皮面積あたりの接着血小板数を定量化すると、TP-/-ではWTに比し血小板接着が有意に抑制されていた。 3)TPノックアウトマウス(TP-/-)における虚血血管床へのp-selectinを介する血小板接着の減少 p-selection中和抗体を連日投与して、接着生体顕微鏡を用いて、下肢虚血後7日目のWT、TP-/-、IP-/-における血小板接着を評価すると、WT、IP-/-では血小板接着が強く抑制され、血小板接着がほとんど認められなかったが、これに比し、TP-/-ではp-selection中和抗体で血小板接着がさらに抑制されることはなかった。対照IgG投与に比し、p-selection中和抗体でWTでは虚血処置14日以降で有意に血流の回復が抑制された。以上のように、TPシグナリングが虚血時の血管新生に重要であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
虚血時の血管新生にTP受容体シグナリングを介した虚血部位への血小板の接着が重要であることが示されたが、リンパ管新生にも重要であることが我々の開発した2次性リンパ浮腫モデルでもあきらかにできつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後リンパ管新生におけるTPシグナリングの役割につき解明を予定している。
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