2011 Fiscal Year Annual Research Report
共生非依存的に進化したオルガネラによるマトリョーシカ化機構
Project Area | "Matryoshka"-type evolution of eukaryotes |
Project/Area Number |
23117008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
金子 修 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (50325370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪井 敬文 愛媛大学, 無細胞生命科学工学研究センター, 教授 (00188616)
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Keywords | 原虫 / マラリア / 赤血球 / オルガネラ / 細胞内輸送 |
Research Abstract |
二次共生由来オルガネラという「オルガネラ二重構造」を内部に持つアピコンプレクス門原虫は、さらに真核細胞へ侵入・改変することでマトリョーシカ構造を発展させる。本研究では赤血球に侵入・改変して発育するマラリア原虫について、種々の分泌オルガネラに局在するタンパク質の網羅的同定と各オルガネラへの輸送に関わる分子の同定を通じて、細胞侵入と寄生成立を可能とする特殊化された分泌オルガネラの機能と起源を明らかにし、マラリア原虫が赤血球を隷属化するマトリョーシカ化発展機構の成立と分子機序を包括的に理解することを目的とする。平成23年度は、赤血球侵入型原虫のオルガネラ形成が開始される時期、および感染赤血球のマウレル裂が形成される時期に転写が見られ、N末端の粗面小胞体移行シグナルもしくは細胞膜貫通領域を持つ事を指標として種々のマラリア分子群を選択し、抗体を作製した。微細局在解析に供するため、蛍光顕微鏡を用いてこれらの抗体の局在解析のための適切な抗体価を決定した。また、マラリア原虫の種々のオルガネラの代表分子を蛍光タンパク質標識した熱帯熱マラリア原虫の作製を開始した。また、感染赤血球内に輸送されるSURFINの細胞内輸送には細胞膜貫通領域、N末端の配列および細胞内領域の一部が必要である事を明らかにした。細胞内領域のトリプトファンに富んだ領域が、赤血球内に新たに形成されるマウレル裂と呼ばれるオルガネラ構造物から、さらに、感染赤血球への移行に必要であることも見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
種々のオルガネラタンパク質に対する抗体の作製と性格付けも順調に行っており、また、赤血球内へのマラリア原虫の輸送シグナル領域も明らかにすることができたため、順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞侵入・オルガネラ形成に関係する種々のマラリア分子群に対する抗体の作製、マラリア原虫の種々のオルガネラの代表分子を蛍光タンパク質標識した熱帯熱マラリア原虫の作製を継続して行う。標的として選択した分子に選択的ノックダウンを可能とするecDHFRを融合させた組換え熱帯熱マラリア原虫を作製開始する。また、原虫内および原虫感染赤血球内の標的オルガネラへの輸送に必要十分なモチーフを確定する実験を継続する。同定したモチーフに結合する原虫分子(輸送を担う分子)を生化学的に同定してゆくための組換えマラリア原虫の作製に着手する。
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Research Products
(14 results)