2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Adolescent mind and self-regulation |
Project/Area Number |
23118002
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
長谷川 眞理子 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 教授 (00164830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 淳志 公益財団法人東京都医学総合研究所, その他部局等, 研究員 (20510598)
佐々木 司 東京大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (50235256)
高橋 泰城 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (60374170)
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Project Period (FY) |
2011-07-25 – 2016-03-31
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Keywords | 自己制御 / 進化 / 発達 / コーホート / 行動遺伝学 / 内分泌系 |
Research Abstract |
【分担班】 長谷川は、西田と連携しながら、東京ティーンコホートの設立と、その研究体制の確立を行った。また、最近の日本における少年犯罪のデータおよび、児童虐待事件のデータをさらに付け加え、データ入力と分析を行っている途中である。西田は、平成24年9月より、約2年間にわたる第一期訪問調査を開始した。現時点までの調査協力率は39%であり、これに基づくと平成26年8月の第一期調査終了時には約5,500名程度の10歳児コホートが構築されることが期待できる。佐々木は、東大教育学部附属中等教育学校での精神保健調査を継続・解析した。この調査は、西田・長谷川の10-11歳児の地域コホート調査と連携し、それに続く中高生の発達、生活習慣、精神的健康を調査、同年代での自己制御の発達と関連諸要因に関する縦断的解析を進めている。高橋は、時間割引における自己制御が、報酬を待っている時と損失を待っているときの待ち時間の違いによって説明できることを、数理モデルおよび行動実験により示した。また、時間割引における合理性の破れも、時間間隔の知覚の性質により説明できる理論を提唱した。 【公募班】 西谷は、小学生~若年成人を対象に、社会性・自己制御能力計測、内分泌機能計測、遺伝子多型計測、環境因子計測を実施し、思春期前期~中期を境に、重要な社会的刺激である表情・視線の処理様式に変化が起こる可能性を見出した。藤澤は、双生児のいる約1000家庭を対象に質問紙調査を実施した。予備的解析の結果から、行動抑制の制御・注意の制御・行動始発の制御の個人差が、遺伝要因と非共有環境要因で説明されることが示された。文東は、コホート研究のマーカーにDNAメチル化を用いるため、個人間のメチル化変動が大きいDNA部位を選択することを目的として、約100名分の健常者のDNAメチル化データを取得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分担班、公募班ともに、順調に研究が進んでいる。 西田・長谷川が担当するコーホート調査には若干の遅れが見られるが、これは、コーホートの最初の設立設計が非常に重要であるため、十分な時間をかけ、慎重に進めてきたためである。この効果は、現時点で39%という非常に高い協力率からも明らかであり、多少の時間的遅れを補ってあまりあることであろう。 その他の分担班・公募班も、新学術内でのシンポジウム等をペースメーカーとし、相互に連携をとりながら着実に研究を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
西田・長谷川の10-11歳児の地域コホート調査では、質の高いコホートを維持するために協力者の継続的貢献を引き出す様々な取り組みを進め、エンゲイジメント(関係づくり)の努力を強化する。また、A03計画研究との共同研究としてコホートサブサンプルを用いた画像研究等を推進するとともに、海外思春期コホートプロジェクトとの連携を強め、国際比較等可能なコホート研究とすることにも配慮し、研究を発展させていく。佐々木は、双生児ペアを含む中等教育学校卒業生フォローアップの準備を進めていく。調査の主要対象校との間の協力関係・信頼関係の構築も順調に進んでいる。高橋は、これまでの進展を踏まえ、時間知覚や感情が、自己制御において果たす役割を、不確実性下の意思決定や社会的意思決定へと応用することを進めると同時に、自己制御の神経内分泌学的基盤の解明を進める。 西谷は、引き続き、各年代のデータ取得を継続して行う。一方、これまで実施した対象者から得た生体試料から、遺伝子多型・内分泌機能の解析を行い、行動傾向との関連性を分析し、行動傾向の発達過程に脆弱性をもたらす因子の探索を進める。藤澤は、質問紙調査のデータ分析結果をもとに、内分泌実験の対象者を選出し、内分泌実験の実験を実施する。また、2回目の質問紙本調査を実施し、データ分析をおこなう。文東は、これまでに得られたデータをもとに、1. 唾液と血液における、組織間、個人間の相関の検証をすすめ、唾液DNAのマーカーとしての有用性を検討する、2.コホートにおけるメチル化マーカーに適した、個人間で変動の大きい領域を同定する、3.次世代シーケンサーを利用したメチル化測定のアプリケーションを確立する。
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Research Products
(29 results)
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[Journal Article] DNA polymorphism in the FKBP5 gene affects impulsivity in intertemporal choice.2013
Author(s)
Kawamura Y, Takahashi T, Liu X, Nishida N, Tokunaga K, Ugawa K, Noda Y, Yoshikawa A, Shimada T, Umekage T, SasakiT
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Journal Title
Asia-Pacific Psychiatry
Volume: 5
Pages: 31-38
DOI
Peer Reviewed
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