2012 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of hepatic tissue model by developing synthetic biological systems
Project Area | Synthetic biology for the comprehension of biomolecular networks |
Project/Area Number |
23119003
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田川 陽一 東京工業大学, 生命理工学研究科, 准教授 (70262079)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 発生・分化 / 生物・生体工学 / 遺伝子 / 合成生物 / 遺伝子回路 / 肝 / 組織 / マイクロデバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ES細胞の厳密な分化モデルの検証を行い、その一連のプロセスにおける各分化誘導因子を適宜発現するストローマ細胞を開発することを前半の目標としてきた。分化誘導因子の時空間的制御をしながら、ES細胞やiPS細胞を成熟肝細胞まで分化誘導する、分化系譜に応じた各分化誘導因子を発現するように設計した遺伝子回路を開発する。 まずは、分化誘導課程の動的シミュレーションのための遺伝子発現を網羅的に解析するため、未分化マウスES細胞と我々が独自に開発した分化誘導法における肝組織(分化18日目)における遺伝子発現のリアルタイムPCRアレイによる発現解析系を確立した。また、アルブミン遺伝子発現制御配列を上流に有するDsRed2遺伝子を導入したマウスES細胞を用いて、各分化誘導因子を添加する条件で分化誘導の検討を行った。さらに、ES細胞の未分化と初期分化における二つの因子の遺伝子発現スイッチについて検討を行った。H25年度にさらに精密な発現の切り替わりができるシステムを開発する。 一方、精密な発現誘導をするために、微小環境で分化誘導因子を制御するためのマイクロデバイスの開発を研究班相互の共同研究で開発を着手した。2種類の培地を層流で培養槽に流れ込むマイクロデバイスを開発することに成功した。平成25年度は、我々が独自に樹立した肝細胞と胆管上皮細胞の両分化能を有するマウス門脈結紮誘導肝前駆細胞株を用いて、2種類への分化誘導による肝組織構築を目指し、分化誘導因子の精密な時空間制御を検討する。 遺伝子回路を導入するためのストローマ細胞としての類同内皮細胞株の樹立も試みた。TS変異SV40 T抗原発現ベクターを構築し、このベクターを門脈内へ投与することにより肝臓内の細胞に遺伝子を導入する手法を考案したが、現時点では類同内皮細胞の樹立には至っていないが、H25年度前半には樹立できると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
①マウスおよびヒトES・iPS細胞から肝細胞への分化誘導プロセスが安定的にできることを確認した。さらに、未熟な誘導肝細胞を成熟肝細胞へ分化誘導因子の探索のため、マウス胎仔肝臓、新生仔肝臓、成体肝臓のシグナルトランスダクション関連遺伝子発現をリアルタイムPCRアレイにより網羅的に情報を得たが、詳細な解析が間に合っていない。 ②2種類の培地を掃流で同一の培養槽に流し込むマイクロ流体デバイスの作製に成功した。このデバイスを用いて、独自に樹立した門脈結紮誘導肝幹細胞から安定的に肝細胞と胆管上皮細胞への分化を検討中である。 ③温度感受性SV40T抗原変異DNAを作製し、発現ベクターに組み込んだ。この発現ベクターをマウス個体へ導入し、類洞内皮細胞の株化を現在行っている。 ④テトラサイクリン誘導プロモーターによる肝細胞関連転写因子発現ベクターによる肝細胞株の機能変化について検討をおこなったが、現時点では発現誘導がかからなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
①情報班と連携して、ES細胞の各分化段階で得られた様々な遺伝子発現の解析を行って、分化誘導の最適化を確立する。 ②①で得られた情報を元に、または、その分化誘導結果を目指したES細胞から肝細胞までの各分化段階の細胞の代表的なマーカーでプロモーター活性化を誘導する遺伝子回路システムを設計し、構築する。当初の予定では、遺伝子回路は5段階程度の反応性を考えていたが、簡素化を検討していきたい。生物班内等の共同研究により、段階的、かつ、分化応答的な発現システムをトグルスイッチのような設計を検討する。 ③工学班と連携し、マイクロデバイスによる1細胞分化システムの開発に力を入れ、精度良く分化誘導因子濃度を制御し、ES/iPS細胞の分化誘導条件を検討する。 ④類同内皮細胞の株化を目指す。また、現時点では、EHy926(HUVECと肺がん上皮細胞の融合細胞株)をストローマ細胞として用いることも平行して行う。 ⑤マウスES細胞にとどまらず、ヒトES/iPS細胞においても同様な手法を試みる。
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Research Products
(32 results)