2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Synthetic biology for the comprehension of biomolecular networks |
Project/Area Number |
23119004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
柘植 謙爾 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 特任講師 (70399690)
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Keywords | ゲノムデザイン / 多要素 / 遺伝子集積 / 代謝経路 / 遺伝子発現 / OGAB法 / アントシアニン / カロテノイド |
Research Abstract |
細胞中の代謝経路のような多因子の遺伝子が関与する複雑系において、各遺伝子の協調的な発現調節により定常的な代謝経路を機能させるための手法の確立を目標として、本年度は、カロテノイド遺伝子群とアントシアニン遺伝子群について以下の実験を行った。 ・酵母遺伝子による解糖系オペロンの構築、 グルコースからカロテノイド生合成に必要な遺伝子群のうち、途中のピルビン酸に至る11種類の酵母解糖系遺伝子(GLK、PGI、PFK1、PFK2、FBA、TPI、TDH、PGK、GPM、ENO、PYF)をクローニングし、これらの材料となる遺伝子断片をOGAB法により集積することで全長16kbの酵母解糖系オペロンの構築に成功した。その後、このオペロンを予め解糖系を欠損した大腸菌に導入することにより、酵母遺伝子による解糖系により大腸菌が生育可能かどうかを検証したところ、速度が遅いながらも増殖を確認され、構築した酵母遺伝子による解糖系オペロンが大腸菌内で機能していることを確認した。 ・アントシアニン合成系オペロンの構築 植物シロイヌナズナのcDNAライブラリーより、フェニルアラニンからアントシアニンの合成に必要な9遺伝子(PAL、C4H、4CL、CHS、CHI、F3H、F3'H、DFR、LDOX、F2K)を大腸菌プラスミド中にクローニングし、OGAB法により集積することで全長10kbのアントシアニンオペロンの構築に成功した。その後、本オペロンを枯草菌と大腸菌で導入して観察したが、特にアントシアニンの生産は確認されなかった。そこで、本オペロンを保持する枯草菌にアントシアニン合成経路の中間代謝産物ナリンゲニンを培地中に添加することによりアントシアニンの合成が可能かどうか検証したが、アントシアニンの生産は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カロテノイド遺伝子群の研究計画のうち最も難関と思われた酵母遺伝子による解糖系オペロンについては、機能させることに成功した点は大きな前進で、当初の研究計画以上の進展があったと言える。一方、アントシアニン遺伝子群については、人工オペロンの構築には成功したが、機能発現させることにはまだ成功していない。事前の想定通りではあるが、まだ解決すべき問題を残した状態といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
カロテノイド遺伝子群の研究計画については、当初の計画通り、酵母メバロン酸経路を大腸菌内に組み立てて、酵母解糖系→酵母メバロン酸経路という人工経路によるカロテノイド生産を目指したい。一方アントシアニン遺伝子群については、大腸菌中あるいは枯草菌中での機能発現の問題点を調べるために、特にナリンゲニン以降の反応ステップについて各酵素を一種類ずつ発現させて無細胞系で反応を解析する。ここで明らかになった各酵素の反応の条件を統合する目的でRondrez班の微細流体技術を用いてアントシアニン合成に最適な各酵素の量比を決定し、これを実現する人工オペロンの構築を行う。
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