2012 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of synthetic gene regulatory networks in a cell-free protein synthesis system
Project Area | Synthetic biology for the comprehension of biomolecular networks |
Project/Area Number |
23119007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
陶山 明 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (90163063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄田 耕一郎 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (00401216)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 合成生物学 / バイオテクノロジー / 生体生命情報学 / 遺伝子 / DNAコンピュータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本計画研究では、工学的に利用価値の高い、多要素からなる複雑な人工遺伝子回路を合理的に構築するための基盤技術として、多要素回路計測法、GUV内回路構築法、及び合理的回路構築法の開発を行っている。 多要素回路計測法については、Photo-DEAN法により、total RNAサンプルから、約150遺伝子の転写RNAの絶対量を同時に15 zmolの感度で7時間以内に測定できる手法を開発した。時系列の計測では1回に使用できるサンプルが少量となるが、1回のtotal RNAの調製スケールが500 ng以下である生細胞でも分析が可能であることを確認した。 GUV内回路構築法については、無細胞タンパク質合成系溶液を封入したGUVを効率よく調製できるPSGH法を開発した。PSGH法は調製の際にオイルを使用しないので膜タンパク質を含む人工回路でも利用できる。また、4℃でも調製可能なので、調製時に不要な酵素活性を抑制できる。 合理的回路構築法については、入出力RNAを介して互いに通信するモジュールのネットワークにより計算処理を行うDNAコンピュータであるRTRACSを利用して、2つのシグナルRNAが同時に存在するときに標的遺伝子の発現が活性化される人工回路を構築した。転写産物がシグナルRNAとして機能する遺伝子と標的遺伝子の組み合わせは自由に選択できるので、ネットワークを構築する際の自由度は高い。この人工回路がダイナミックに動作するためには、シグナルRNAの濃度が時間とともに変化したとき、標的遺伝子の活性化の度合いもそれに応じて変化しなくてはならない。UDGを用いて、回路の動作にともなって新規に合成されたDNAを分解する反応をつくることにより、ダイナミックな動作が可能な回路の実現に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多要素回路計測法の今年度までの目標は、Photo-DEAN法により、微量な生細胞およびGUV内に存在する多数のRNA転写産物の絶対量を同時に高感度で迅速に測定できる手法を開発することである。達成度は80%で、GUV内の人工回路の動作を調べるためのRNA定量法としての評価は平成25年度前半にずれ込んだ。 GUV内回路構築法の今年度までの目標は、人工遺伝子回路を含む無細胞タンパク質合成系の溶液を封入するのに適したGUVの調製法を開発する。達成度は100%である。 合理的回路構築法の今年度までの目標は、RTRACSを利用して、任意の2つのシグナルRNAにより任意の標的遺伝子の発現量をダイナミックに制御する人工遺伝子回路を構築する。達成度は100%である。
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Strategy for Future Research Activity |
多要素回路計測法については、柘植班が大腸菌内に構築を目指しているアントシアニン・カロテノイドを合成する人工回路について、大腸菌内での動作とGUV内の無細胞タンパク質合成系での動作をphoto-DEAN法で計測する。両者の結果を比較して検討することにより、生細胞より実験が容易なGUVでの実験結果を生細胞での人工回路の実現に役立てる方法を開発する。また、photo-DEAN法の感度をさらに向上させ、Rondelez 班で作製されたマイクロチャンバーと組み合わせることにより、一つのGUV内の人工回路の動作が計測できるようにする。 GUV内回路構築法については、車班との連携により、膜貫通型タンパク質α-ヘモリシンを用いて、GUV内の無細胞タンパク質合成系が長時間持続するようなGUVの調製法を開発する。その性能は、柘植班でつくられたアントシアニン・カロテノイドを合成する人工回路を用いて評価する。 合理的回路構築法については、2つのシグナルRNAにより標的遺伝子の発現を制御するモジュールについて、入出力の関係を詳細に調べてその特性を定量的に明らかにする。入出力特性を計算機シミュレーションで再現できるような反応モデルを構築し、多数のモジュールからなる回路を計算機で設計できるようにする。この設計法を用いて、柘植班の人工回路の一つの遺伝子について、そのmRNA 量を指定した値に維持する人工回路を設計して構築する。構築した回路の動作を試験管内およびGUV内で計測し、設計法の評価と改良を行う。さらに、複数の遺伝子のmRNA量を制御できるような回路を設計し、柘植班の人工回路のRTRACS版回路を構築する。無細胞タンパク質合成系でオリジナルの回路とRTRACS版回路の動作を計測し、RTRACSを利用した合理的回路構築法の評価を行う。
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Research Products
(10 results)