2011 Fiscal Year Annual Research Report
数理モデルを用いた動的な人工遺伝子回路の設計と解析
Project Area | Synthetic biology for the comprehension of biomolecular networks |
Project/Area Number |
23119008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山村 雅幸 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (00220442)
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Keywords | 合成生物学 / 遺伝子回路 / 代謝経路 / 非線形システム / 確率過程 |
Research Abstract |
およそモノづくりは、概念設計から実現に至るまで系統的なアプローチをとるべきである。分子や細胞のように手に取って調べられない対象に対しては、各段階での分析・設計、試行からのフィードバックに、適切な数理モデリングと、パラメータ最適化、シミュレーション、システム構造解析等の計算機の利用が欠かせない。本研究の目的は、これら合成生物学を支える情報科学的基盤技術の開発にある。 合成生物学の先駆的研究では、非線形システム解析の常套手段が援用されてきた。そこでは十分多くの分子が関与し、均一系の試験管内のような単純化された状況が想定されている。細胞内では、組換えられたネットワーク自体の複雑さに加えて、生体分子の局在化、少数分子のゆらぎの影響や、増殖のような想定外の事象をも取り扱う必要がある。研究代表者は人工遺伝子回路国際コンテストiGEMに2006年より参加し、合成生物学に関わるさまざまな数理モデル解析に携わってきた。連携研究者たちは非線形動力学、統計的モデリング、人工化学、大規模物流ネットワーク解析、薬物動態シミュレーション、モデル最適化などの分野に実績がある。合成生物学の対象は理想化・単純化された状況から大規模・複雑・不均一なものにシフトしつつあり、それらを考慮した新たな数理モデルの構築が必要であるとの着想に至った。 計画研究A01,B01各班の対象をテストベッドとして、微分方程式に確率過程論や統計物理といった異質の解析手法を組み合わせ、マルチフィジックス・マルチレイヤーモデルによる機能解析に取り組む。最終的にC01班の成果と合わせ、合成生物学研究の総合支援ネットワークを提案する。24年度以降、公募研究が加わるため、本年度は既存の遺伝子回路20件について、その機能・構成要素等をまとめてサーベイし、以降の活動の準備とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は実質研究可能な期間が限られていること、および24年度から公募研究が加わることから、今年度は、主として既存研究の整理のための準備期間と当初から予定していた。膨大な既存研究から、有用なレベルに達したものを集めたところ、20件にとどまったことも幸いして今年度の当初計画は完了したとみなしている。
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Strategy for Future Research Activity |
他の計画研究との本格的な共同研究体制に入る。具体的には、それぞれの遺伝子回路のモデルとモデルパラメータ等の実験データが次々と入手可能となるため、シミュレーションを実施して知見をフィードバックするほか、不足するデータの測定を依頼する。また、公募研究のうち、情報系公募研究のメンバーに対する啓発活動が大きなウェイトを占めると考えている。
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