2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Synthetic biology for the comprehension of biomolecular networks |
Project/Area Number |
23119009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊庭 斉志 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (40302773)
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Keywords | 遺伝子制御ネットワーク / 進化計算 / ラボラトリーオートメーション / 遺伝的アルゴリズム / 遺伝的プログラミング |
Research Abstract |
本研究では、多要素人工遺伝子回路を設計するための情報基盤システムの構築を目指す.具体的には,(1)実験データから各種解析データを自動生成するラボラトリオートメーション(ラボオートメーション)技術の開発,(2)実験データや解析データのデータベース化を支援するとともに,ネットワーク上でのコラボレーションを促進するウェブ環境の整備,(3)進化計算を活用してデータベースに格納された遺伝子部品等の検索を行い,それらを組み合わせて人工遺伝子回路を自動設計する技術,設計した人工遺伝子回路を構築するための実験計画を立案する技術を開発する. 本研究で構築する情報基盤システムは,他の実験班が研究を進めるための文字通り基盤となるため,迅速な実装が必要となる.そこで,基盤システムのβバージョンを早急にに構築し,実験班との連携を通じてシステムの機能拡張を継続的に行っていくことでシステムの実現を目指すという戦略を取る. 遺伝子ネットワークの組み合わせは膨大にあり,コンピュータを用いても網羅的に全探索することは難しい.そこで人工遺伝子回路のデザインにおいて,進化計算を活用して人工遺伝子回路の自動設計と各種パラメータの最適化を行うツールを開発している.進化計算を活用した自動設計とは,人工遺伝子回路をシミュレートできるような適切なモデル化を行った上で,回路の改変→シミュレーションによる評価,というプロセスを繰り返すことによって,できるだけ良い回路を発見的な方法で見つけ出すものである.このために,回路の適切なモデル化方法,計算時間を削減したシミュレーション,どのような回路が“良い回路”なのかを与える評価関数の設計手法,効率的な解探索の手法,などの開発を試みている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでDNA論理ゲートを自動設計するプログラムの開発に成功しており,それによって得られた知見(解の探索手法や評価関数の設計方法に関するノウハウ等)を反映したシステムの開発を行っている.その結果遺伝子回路を進化計算に基づいて設計する手法がほぼ完成し、さらにバイオ研究者とのコラボレーションにより対話的に設計するシステムを構築中である。これによりウェット研究者との共同研究がより順調にすすむと期待される。 さらに、ウェットの実験グループとの共同研究が順調に展開しつつある。 具体的には、以下の研究を実施中である。 (1) Rondelez班との共同研究を当初から行い,発振回路,双安定性回路およびtri-stable switchなどの遺伝子回路の効率的な進化型デザイン手法を開発している.その成果発表のための論文を準備中である. (2) 花井班とはSmolen oscillatorを拡張したロバストな遺伝子回路設計についての共同研究を行っている.2遺伝子を拡張したモデルでの効率的な探索手法を開発中である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は前年度までの成果をもとにして設計手法の検証を行う.そのために,発振回路や双安定性モジュールなどについて設計システムの実現性を確認する.具体的には,ロバストに機能する生体モジュールの設計を行う.最終的な目標は,ウェットの研究者との共同研究により,探索された遺伝子ネットワークを実際の生物上で実現することである. 具体的には、実験班(陶山、Rondelez、木賀、花井、板谷班)からのヒアリングと伊庭班で行う実験から、各種実験データの解析手法と解析プログラムを調査する。可能な範囲で解析プログラムを基盤システムとリンクさせ、解析作業の自動化を図る。また、次年度以降の山村班との連携を考慮して、解析プログラムと実験データをリンクさせ、解析作業を自動化するための一般的な枠組みを策定しておく。上記に加えて、実験装置の仕様や操作方法、プロトコル、解析手法、解析プログラムなどを基盤システム上に公開することで、若手研究者や異分野の研究者の参入障壁を下げる努力を継続的に行う。以上の機能を実装した基盤システムのβバージョンをMediaWikiを拡張することによって構築する。
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Research Products
(8 results)