2011 Fiscal Year Annual Research Report
小分子生体内挙動を制御する因子の組織・臓器階層における網羅的解析
Project Area | Establishment of Integrative Multi-level Systems Biology and its Applications |
Project/Area Number |
23136101
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
楠原 洋之 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (00302612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 章博 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (80420206)
前田 和哉 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (00345258)
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Keywords | 薬物動態 / 肝異物解毒システム / スケーリングファクター / 階層構造 / 代謝酵素 / トランスポーター / PET |
Research Abstract |
COX2阻害剤celecoxibの主代謝物であるSC-62807はPET分子プローブ化され、胆管側トランスポーターの機能評価プローブとして期待されている。SC-62807がhumanおよびmouse Bcrpの基質となること、また肝シヌソイド側トランスポーター(OATP1B1、1B3)の基質となることを見いだし、ヒトにおいても効率的な肝胆系輸送をうけることが示唆された。ヒト肝臓ならびに強制発現系におけるBCRP蛋白発現量を測定し、ヒト肝臓におけるBCRP輸送能を外挿した。マウス肝細胞中のCYP2A5,2B10,2E1,2D10,3A11,シトクロームb5(Cb5)、NADPHシトクロームP450還元酵素、およびミクロソームマーカー蛋白としてMTTPおよびBiP、さらにHNF4α、PXR、CAR、およびGRを一斉分析することに成功した。マウス肝細胞をNano Culture Plate(SCIVAX)を用いて3次元培養することでスフェロイドを形成させ、CYPの発現量を比較的高く保つことができることを確認するとともに、リファンピシンなどの誘導剤で処理することで発現量が分子種特異的に変動することを、本分析法を用いることにより確認できた。CYPの絶対定量にあたり、サンプル中の蛋白安定性について検討した。安定性は分子種により異なるが、熱処理(80℃、10分間)あるいはプロテアーゼ阻害剤カクテルの添加で抑制されたことから、こうした処理を加えることによりartifactを抑制することができる。薬物トランスポーター(OCT2、MATE1、MATE2-K)についても、定量用のペプチドデザイン、トリプシン消化条件を検討した。OCT2およびMATE1については、強制発現系ならびにヒト腎検体で発現量の絶対値を測定することができた。一方、MATE2-Kについては、強制発現系ならびにヒト腎検体では予想されるペプチド断片を検出することができず、さらなる解析を必要とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主要な代謝酵素・トランスポーターの絶対定量系を構築することできた。SC-62807の肝臓内動態に関わるトランスポーターも解明し、順調に計画は進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
蛋白発現量を測定できる分子種をさらに拡張するとともに、正常時の肝臓内の薬物動態だけではなく、併用薬の服用時など、代謝酵素・トランスポーター機能が変動した際の、肝臓内動態を記述できる数理モデルを構築する。
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Research Products
(9 results)