2012 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive analysis of the factors regulating the disposition of small molecules at organ and tissue levels
Project Area | Establishment of Integrative Multi-level Systems Biology and its Applications |
Project/Area Number |
23136101
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
楠原 洋之 東京大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (00302612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 和哉 東京大学, 薬学研究科(研究院), 講師 (00345258)
樋坂 章博 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80420206)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 薬物動態 / 肝異物解毒システム / スケーリングファクター / 階層構造 / 代謝酵素 / トランスポーター / PET |
Outline of Annual Research Achievements |
LC-MS/MSでの絶対定量法が確立できていなかった有機カチオントランスポーターMATE2-Kについて、種々条件を見直し、絶対定量法を確立した。ヒト腎臓から調製した刷子縁膜では、MATE1、MATE2-Kともに定量することができた。発現細胞での輸送活性から、蛋白発現量で定義したスケーリングファクターに基づいて定義した寄与率と、阻害剤を用いた寄与率とは一致していないことから、さらに条件検討することが必要である。OATP1B3が関係する肝排泄における薬物間相互作用において、in vitro試験からの予測と臨床試験の結果が一致する結果を得た。さらに、全身の薬物動態を定量的にかつリアルタイムに予測するため生理学的薬物速度論(PBPK)モデルを用いて、実際の臨床データを説明しうるモデルパラメータの探索を行った。Cluster Newton Method (CNM)により、多数のパラメータに対して、極めて広い幅の初期値集団から同時に最適化をかけ、解集団を網羅的に探索した。OATPsを介した薬物間相互作用を解析した結果、相互作用薬・被相互作用薬の血漿中濃度データを満たす解を複数得た。OATPsに対する阻害定数は極めて狭い範囲で決定された一方、個々のパラメータは狭い範囲にこそおさまらないものの、胆汁排泄能とbackflux能比は狭い範囲に収まるなど、各パラメータの特性を明確にすることができた。さらに、プラバスタチンとリファンピシンとの薬物間相互作用の解析では、腸肝循環を考慮した場合と考慮しない場合で、どちらでも血漿中濃度データを説明しうるパラメータ解集団は求めることができるが、考慮しない場合は、プラバスタチンの肝濃縮率が300倍を超える一方、考慮すると7-17倍程度となり、in vitroデータなどを加味すると、腸管循環を考慮した方が生理学的に妥当なモデルであると結論付けられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vivoでスケーリングファクターを定義するためのPETプローブも複数得ており、順調に進展している。また、トランスポーター蛋白発現の絶対定量評価に関しても、問題を克服しており、ヒト組織での測定のための見通しを付けた。
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Strategy for Future Research Activity |
蛋白発現量を測定できるトランスポーター分子種をさらに拡張し、ヒト組織における発現量を測定し、in vitro-in vivoスケーリングを実施する。さらに、正常時の肝臓内の薬物動態だけではなく、併用薬の服用時など、代謝酵素・トランスポーター機能が変動した際の、肝臓内動態を記述できる数理モデルを構築する。臨床試験に基づいて、トランスポーターの個体間変動要因を抽出し、そのメカニズム解明に向けて研究を進める。
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Research Products
(16 results)