2012 Fiscal Year Annual Research Report
Integrated analysis of biological interaction of small molecules at the molecular level of living organisms
Project Area | Establishment of Integrative Multi-level Systems Biology and its Applications |
Project/Area Number |
23136102
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山下 富義 京都大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (30243041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新島 聡 京都大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (30456834)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生体生命情報学 / 薬剤反応性 / 薬物動態 / テキストマイニング / 生理学的モデル / 酵素誘導 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者の山下は、トランスポーター基質に関するテキストマイニング技術の開発を行った。基質認識性が極めて広いP-糖タンパク質(P-gp)を例に詳細な解析を行った結果,精度および再現率ともに約90%という高い値が得られた。抽出された6852レコードから重複を削除し,照合確認まで行った結果,334個のP-gp基質を得ることに成功した。これらのP-gp基質に関し,チトクロムP450各分子種の基質とを比較したところ,CYP3A4基質との共起確率が顕著に高く,従来示唆されてきた点が本網羅的解析により実証された。一方,分担者の新島は,化合物‐タンパク質間相互作用予測法であるCGBVS(Chemical Genomics-based Virtual Screening)モデルにおいて,9種類のリガンド-ターゲットカーネル(類似度尺度)の適用可能性を,5つのタンパク質ファミリー(GPCR,キナーゼ,核内受容体,イオンチャネル,トランスポーター)について包括的に評価した。その結果,リガンドカーネルとターゲットカーネルの組み合わせが有意に予測精度に影響を及ぼし,最適な組み合わせはファミリーごとに検討すべきとの結論が得られた。また,山下は,リファンピシンによるヒト肝細胞でのCYP3A4の発現誘導について速度論解析を行うとともに,リファンピシンおよびCYP3A4基質薬物の体内動態を生理学的速度論モデルに基づいて解析した。その結果,リファンピシンによる酵素誘導のダイナミクスに基づいてCYP3A4基質薬物の体内動態変化が精度よくシミュレートできることを明らかにした。本薬物間相互作用モデルに関し,薬物体内動態をPHMLによって,リファンピシンによるCYP3A4の発現誘導をSBMLでモデル実装し,これら記述言語の組み合わせによる連成シミュレーションが可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生体分子と化合物との相互作用に関するテキストマイニング技術を用いた情報収集は,転写因子,薬物代謝酵素,トランスポータと着実に拡がっており,ケモインフォマティックス解析を通じた分子間相互作用のモデル化も順調に進んでいる。生理学的モデルに基づく薬物の体内動態解析にも取り組み,薬物間相互作用の予測に成功するほか,本領域で開発するシミュレーション環境への実装にも着手し,情報科学者との連携も深めている。
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Strategy for Future Research Activity |
分子間相互作用に関する定量的モデルを構築することで,上位階層における生体現象との関連を明らかにする。また,小分子の体内動態を記述する標準的なフォーマットを策定することで,本ソフトウェア環境を動態研究者が簡便に使えるように整備する。
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