2013 Fiscal Year Annual Research Report
小分子-生体システム相互作用の分子階層における統合的解析
Project Area | Establishment of Integrative Multi-level Systems Biology and its Applications |
Project/Area Number |
23136102
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山下 富義 京都大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (30243041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪口 明博 関西学院大学, 理工学部, 准教授 (70452456)
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Project Period (FY) |
2011-07-21 – 2015-03-31
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Keywords | 生体生命情報学 / 薬剤反応性 / 薬物動態 / テキストマイニング / 生理学的モデル / 酵素誘導 |
Research Abstract |
ヒト肝細胞における薬物代謝活性および酵素誘導には著しい個体間変動が存在する。そこで、個体間変動を考慮した拡張最小二乗法計算によりパラメータ推定を行う方法を確立した。まず、CYP3A4による代謝についての構造活性相関を明らかにするために、各種薬物の濃度依存性実験の結果を非線形混合効果モデルにより解析し、ミカエリス定数および最大代謝速度に関するモデリングを行った。一方、リファンピシンによる薬物代謝酵素誘導について総合的に解析するために、ヒト肝細胞におけるCYP3A4 mRNA発現およびその酵素活性に関する情報を数多く収集した。得られた酵素誘導ダイナミクスモデルとリファンピシンの生理学的薬物速度論モデル、さらにCYP3A4基質薬物の生理学的薬物速度論モデルをPhysioDesigner上で連成し、シミュレーションを行ったところ、13種類の異なったCYP3A4基質薬物について精度よく動態予測が可能となることが示された。また、リファンピシンによるCYP3A4誘導に関する制御因子をより詳細に明らかにするために、リファンピシンの受容体として知られるPregnane X受容体と相互作用する分子についてのテキストマイニング解析、およびヒト肝細胞にリファンピシンを作用させたときのマイクロアレイ解析を行った。その結果、HNF4alpha、C/EBPalphaなどの制御因子、およびconstitutively active receptor(CAR)とのクロストークなどの情報が得られたほか、マイクロアレイ解析によりZNF498がリファンピシンにより有意に誘導されることが明らかとなった。そこで、ZNF498発現を抑制するsiRNAを作成しHepG2細胞に作用させたところ、CYP3A4の発現が上昇し、ZNF498がCYP3A4発現に対して抑制的に働いている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生体分子と化合物との相互作用に関するケモインフォマティックス解析や動態解析において個体間変動の問題があったが、拡張最小二乗法計算を用いた非線形混合効果モデル解析法を確立することによって多くの情報をプールして大規模に解析できるようになった。生理学的モデルに基づく薬物の体内動態解析にも取り組み,薬物間相互作用の予測に成功するほか,本領域で開発するシミュレーション環境への実装にも着手し,情報科学者との連携も深めている。
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Strategy for Future Research Activity |
小分子と生体システムとの相互作用に関してより精細なモデルを構築するために、薬物の代謝等に関わる遺伝子の発現のダイナミクスを解析する。また、小分子の体内動態を記述する標準的なフォーマットを策定することで、本ソフトウェア環境を動態研究者が簡便に使えるように整備する。さらに、心臓モデルの構築を目指す研究グループとの連携を深め、生体システムの多階層モデリングを目指す。
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Research Products
(8 results)