2023 Fiscal Year Annual Research Report
共生が必要・不要な近縁種から探る共生における物質の役割
Project Area | Creation of holobiont molecular sciences by integrating biosphere and molecular informatics |
Project/Area Number |
23H03822
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
山下 洋 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(長崎), 主任研究員 (00583147)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新里 宙也 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (70524726)
將口 栄一 沖縄科学技術大学院大学, マリンゲノミックスユニット, グループリーダー (90378563)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 共生体 / スナギンチャク / 褐虫藻 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物の生きざまと物質の機能・役割を紐付け「物質を介して生態系を俯瞰する」という新たな観点の研究手法を確立する本領域において、本研究(A02班)は室内実験による生物観察と遺伝子解析を実施する。本年度はA01班が沖縄県西表島および嘉手納町水釜海岸で採取した、褐虫藻を持たないスナギンチャクPalythoa umbrosaとPalythoa mizigamaのゲノム解読を実施した。採取したスナギンチャクを3.3 x PBSに浸し、ボルテックスによりスナギンチャクの細胞ペレットを得た。ペレットからDNAを抽出してライブラリを作成したのち、PacBio Sequel IIにより塩基配列の解読を行った。得られた塩基配列からスナギンチャクのミトコンドリア由来の配列および細菌やウイルス等由来の可能性のある配列を除去し、核ゲノムのアッセンブリーを実施した。解析は現在も進行中である。一方、RNA-seq等を行うためにRNA抽出を試みたが、解析に使用できる十分な品質のRNAを抽出することができなかった。A01班が採取した褐虫藻を持つスナギンチャクを用いて、共生褐虫藻の遺伝子型の把握も実施した。すなわち、スナギンチャク内の褐虫藻からDNAを抽出し、褐虫藻の核ITS2領域をPCR増幅したのち、外注によりアンプリコンシーケンス解析を実施した。複数の種類を解析したが、主要な褐虫藻の遺伝子型はそれぞれ異なっていた。また、褐虫藻と共生するスナギンチャクから褐虫藻を単離し、培養株化を行い、複数の培養株の作成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
褐虫藻との共生を必要としないスナギンチャクのゲノム解読には成功したが、RNA-seq等を行うために必要な高品質のRNAの抽出が困難であることが判明し、その対応が必要なため。
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Strategy for Future Research Activity |
解析に必要な高品質のRNAを得るために、抽出条件の検討などを行う。また、褐虫藻との共生が必要なスナギンチャクのゲノム解読にも着手するとともに、体内の褐虫藻の遺伝子型組成の把握や培養株化を試みる。
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[Presentation] On the evolution and ecology of azooxanthellate cave-living Palythoa spp.2023
Author(s)
Timotheus Maximilian van den Eeckhout, Chloe Julie Lois Fourreau, Kairi Takahashi, Iori Mizukami, Emmeline Jamodiong, Giovanni Masucci, Tohru Naruse, Ryuichi Sakai, Masaki Kita, Yuta Tsunematsu, Hiroshi Yamashita, James Davis Reimer
Organizer
第26回日本サンゴ礁学会