2023 Fiscal Year Annual Research Report
膜脂質の局所変動を可視化する膜臨界場イメージング技術
Project Area | Resilience Biology -What are the molecular mechanisms that support the resilience of life?- |
Project/Area Number |
23H03856
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
土谷 正樹 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (00837338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 雄二 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (60362456)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | グルコーストランスポーター / 膜輸送体 / クリックケミストリー |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞膜に存在する膜タンパク質のうち、チャネル・トランスポーター等の物質輸送を担う分子群は様々な細胞現象を発現するための起点となる可能性がある。なかでもグルコーストランスポーターは細胞活動に必須なエネルギーを供給する重要な役割を担い、そのグルコース輸送活性は細胞代謝状態を強く表す。本年度は、グルコーストランスポーターの基質認識を受けるアジド修飾糖アナログを探索し、グルコーストランスポーター活性を生細胞状態で検出できる評価系を構築した。細胞内に取り込まれたアジド糖を選択的に蛍光標識するために、蛍光色素を連結した歪みアルキン試薬を細胞に投与することで、自発的なクリック反応により生成した蛍光アジド糖を顕微鏡観察およびフローサイトメトリーにより検出した。グルコーストランスポーター選択的阻害剤や糖異性体の競合阻害実験などにより、6-azido-6-deoxy-D-galactose (6AzGal)がグルコーストランスポーターの輸送基質として認識されることが判明した。モデル系でのバリデーションを進めるために、細胞活動が活発化しエネルギー要求性が高まった免疫細胞を用いた。マウス脾臓より単離したT細胞をCD3/CD28刺激により活性化させ、6AzGalの取り込みを評価した結果、無刺激のコントロールに比べて6AzGal取り込みレベルが増大することを認めた。6AzGalの特徴として、蛍光色素が直接結合したグルコースアナログに比べて、分子量が小さく、親水性も高く、天然のグルコースにより近い物理化学的性質を示す。この特徴を活かすことで、生体内でのグルコース取り込みをより正確に検出し、活発化した細胞を同定しやすくなると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グルコーストランスポーター活性が変化することが知られている細胞モデル・動物モデルでの6AzGalの取り込みアッセイ系について、in vitro/ex vivo/in vivoの各レベルでバリデーションを完了し、他の類似手法との比較評価も完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究により6AzGalを用いてエネルギー代謝が変化した細胞種を識別する可能性が開けており、今後は、膜脂質分布の変化を伴うなど他の生体分子が関与しうる状態の細胞について解析を進める。
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