2013 Fiscal Year Annual Research Report
周辺アッカド語文書に見る古代西アジアの言語・歴史・宗教に関する総合的研究
Project Area | Ancient West Asian Civilization as the foundation of all modern civilizations: A counter to the 'Clash of Civilizations' theory. |
Project/Area Number |
24101008
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
池田 潤 筑波大学, 人文社会系, 教授 (60288850)
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Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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Keywords | エマル / 王朝 / 年代学 / 書記伝統 |
Research Abstract |
2013年12月7日にEmar Workshop 2013を開催し、「エマル文書の年代学的枠組み」をテーマとして2名の研究協力者が次の研究発表を行った。 Masamichi Yamada (中央大学), The Emar Texts: Their Chronological Framework and Historical Implications Yoram Cohen (テルアビブ大学), Problems in the History and Chronology of Emar シリアの遺跡メスケネ(古代名エマル)で出土したアッカド語文書中、多数を占めるのは、各種契約書を主体とする法的文書である。これらはその形状、書法、書式および登場人物の系統の相違から、現地伝統的なシリア型と外来の影響を受けたシリア・ヒッタイト型の2種類に分類される。これら文書の年代に関しては、どちらも前13-12世紀初期とする理解が従来一般的であったが、シリア型を前1380-1250年頃、シリア・ヒッタイト型を前1275-1175年頃とす説が最近提出された。この一大論争を批判的に検討するのがワークショップの目的であった。 Yamadaが新しい説に批判的な立場から、Cohenが新しい説を指示する立場から発表を行い、フロアも巻き込んだ論戦となった。最終的な決着は着かなかったが、古代オリエント世界に2つの書記伝統が併存した例がないという指摘は重く、Cohenを論破するにはこの点を覆す必要があることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、Yoram Cohenを招聘してワークショップを開催することができ、積年の問題について一定の進展が得られたため、研究はおおむね順調に進んでいると言える。ただし、外務省からシリアへの渡航延期勧告が出ているため、一次資料の確認は進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、Daniel Fleming(ニューヨーク大学)を招聘し、エマルの暦に焦点を当てたEmar Workshop 2014を開催する予定である。Workshopの開催を重ねることにより、目的の達成に向かって研究を推進していきたい。 シリアの政情についてはいかんともしがたいので、周辺アッカド語の言語学的問題については資料の範囲をエマル文書以外にも広げて調査・研究する必要がある。そこで、今年度からアマルナ文書の調査・分析に着手する。
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