2014 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属酸化物ナノ粒子を利用した元素ブロックの創製
Project Area | Creation of Element-Block Polymer Materials |
Project/Area Number |
24102002
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
菅原 義之 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50196698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井戸田 直和 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (60451796)
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Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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Keywords | 元素ブロック / 金属酸化物 / 表面修飾 / ナノ粒子 / ナノシート |
Outline of Annual Research Achievements |
元素ブロック高分子材料のモノマーとして位置づけられる元素ブロックを、遷移金属酸化物ナノ粒子を出発物質として作製し、将来的には元素ブロック高分子へ展開するために、遷移金属の単純酸化物や複合酸化物のナノ粒子の作製とこれらを対象とした表面修飾技術を発展させるべく、研究を展開している。 二酸化チタンナノ粒子の表面をリン酸エステルを用いて修飾した。リン酸エステルは、モノエステル体とジエステル体の混合物として入手可能であることから、元素ブロック作製に適していると考え、表面修飾剤として使用した。オレイル基を有する分子が酸化物粒子の表面修飾に用いらていることから、リン酸オレイルを用いて修飾を行った。二酸化チタンナノ粒子の水分散液にメタノールに溶解させたリン酸オレイルを加え、室温で反応させ、洗浄後、生成物を得た。分光学的キャラクタリゼーションにより、リン酸オレイルが二酸化チタンナノ粒子表面と反応し、グラフトされていることを示した。生成物はトルエンに優れた分散性を示した。 代表的温度応答性高分子として知られるPoly(N-isopropylacrylamide) (PNIPAAm) 鎖をナノシートの表面にPNIPAAm鎖を導入し、温度応答性ナノシートを作製した。表面開始原子移動ラジカル重合 (SI-ATRP)開始基を有するホスホン酸誘導体を表面に固定化し、ATRPプロセスでNIPAAm鎖を成長させた。これを水に分散することにより懸濁液を得た。電子線回折像は、ペロブスカイト層構造を示すc軸入射の正方晶に対応していた。また、AFM観察から、生成物は厚さ25 nm程度のナノシート構造を有していることがわかった。得られた懸濁液の透過率の温度依存性を測定したところ、34℃から透過率が減少し、濁った状態となった。これはポリマー鎖が疎水性となりナノシート同士が凝集していることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノ粒子とナノシートの作製並びにその表面修飾技術に関して、これまで基本的な技術を獲得してきた。ナノ粒子に関しては、ホスホン酸を用いた表面修飾技術に加え、2014年度はリン酸エステルを用いた表面修飾技術及びホスホン酸修飾を足場としたATRPプロセスによる高分子鎖成長技術も獲得している。また、ナノシートに関しても、ホスホン酸による修飾技術とアルコールによる修飾技術を獲得しており、様々な官能基を自在に固定化することが可能となっている。従ってナノ粒子とナノシート表面に重合可能な官能基を導入したり、高分子鎖を導入したりすることは十分可能である。このように今後ナノ粒子やナノシートを連結させて高分子化するための準備は十分整ってきており、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究を継続しつつ、元素ブロック高分子のモノマーとしての機能を有する元素ブロックの作製に主眼を置いて研究を展開する。また、元素ブロックの高分子化について検討を行う。さらに、ナノシートを用いた検討も実施する。 遷移金属酸化物ナノ粒子の作製をピリジンN-オキシド等のアミンオキシド化合物を用いた酸化によって合成する。特に鉄を含む出発物質(FeCl2、FeCl3、[Fe(o-phen)3]2+)から酸化鉄を作製し、鉄の酸化数、構造を制御したナノ粒子を作製する。 また、重合可能な有機基を有するホスホン酸を無機ナノ構造に導入して高分子化へ展開する。両末端に反応活性基を有するオリゴマーやポリマーを架橋剤として用い、架橋剤との反応により高分子化させる戦略で検討を行う。高分子との反応には、当初計画していたラジカル反応に加え、より制御された元素ブロック高分子の作製のためにクリック反応とヒドロシリル化反応を利用する。いずれの反応においても、架橋させる高分子の添加量を制限することにより、重合度を制御する。また、重合可能な有機基を有する ホスホン酸と不活性なホスホン酸(アルキルホスホン酸など)やリン酸エステルを混合して用いる手法も検討する。 上述のナノ粒子に関する検討に加えて、層状化合物から剥離させることによって得られるナノシートを用いた元素ブロックの作製についても研究を進める。具体的には、有機ホスホン酸を用いたイオン交換性層状ペロブスカイトへの重合可能な有機基の導入とLiquid-phase deposition法を利用した有機ホスホン酸ジルコニウム作製を行う。その後各種有機溶媒で超音波処理を行い、剥離により得られたナノシートのコロイド溶液に対して、クリック反応あるいはヒドロシリル化反応による高分子化反応が進行するかどうかを調査する。
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Research Products
(26 results)