2012 Fiscal Year Annual Research Report
Element Blocks Based on Clusters and Nanoparticles of Metals and Semiconductors
Project Area | Creation of Element-Block Polymer Materials |
Project/Area Number |
24102004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡辺 明 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (40182901)
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Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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Keywords | 無機高分子 / 無機元素ブロック / ナノ材料 / クラスター / 半導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、エネルギー環境問題の顕在化から、低エネルギー・低環境負荷で高効率なプロセスを可能とする材料に関する研究が精力的に行われている。金属や半導体材料の薄膜に関しても、従来の真空下での気相堆積法に代わる様々なプロセスが探索され、それらは、フレキシブルなプリンタブルエレクトロニクスデバイスの発展において不可欠なものとなっている。ウェットプロセスに適用可能な金属や半導体のクラスターおよびナノ粒子は、それらの出発物質として重要となっている。それは、プリンタブルプロセスにおいて用いられるポリマーフィルム基板の耐熱性の制限から、元素骨格が既にある程度形成されている金属や半導体のクラスターおよびナノ粒子を機能材料創製のための元素ブロックとして用いることが有効なためである。本研究では、半導体系元素ブロック材料が有する安定性と加工性を生かしたエネルギー負荷・低環境負荷の少ないウェットプロセスによる光電子デバイスを目指した材料及びプロセスの研究を行った。元素ブロックとしては、金属ナノ粒子、SiやGe、さらにTiO2やZnO等の酸化物半導体系を対象とした。現在のところSi微粒子膜系の太陽電池において1%前後の変換効率が得られているが、さらなる変換効率の向上を目指して、Si微粒子/Geクラスター膜のレーザーシンタリング、Si微粒子/酸化物半導体ナノ粒子ヘテロジャンクション型太陽電池を目指してのTiO2ナノ粒子のミスト堆積法による薄膜形成、さらにウェットプロセスによる透明導電性薄膜形成を目指して、有機ゲルマニウムナノクラスターとZnOナノ粒子とを用いたGeドープZnO薄膜形成、Agナノ粒子とZnOナノ粒子とを用いたAgドープZnO薄膜形成に関する検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、有機材料同様の反応性や加工性と無機材料の安定性と半導体特性を有した種々の無機元素ブロック材料およびそれらを用いた新規プロセスを創成することを目的としている。その出口としては、新規太陽電池実現のためのブレークスルーを目指している。元素ブロックとしては、金属ナノ粒子、SiやGe、さらにTiO2やZnO等の酸化物半導体系を対象として研究を進めている。これらを用いた太陽電子として、Si微粒子/TiO2ナノ粒子ヘテロジャンクション型太陽電池を全塗布型プロセスで形成し、1%前後の変換効率を得ている。さらなる変換効率の向上のためには、ウェットプロセスで形成可能な半導体膜質の改善が必余殃であり、これに関してはSi微粒子/Geクラスター膜のレーザーシンタリングによる検討を行っており、結晶性のSi、SiGe合金、およびGe膜の形成を確認している。また、大面積のヘテロ接合界面の形成を目指して、TiO2ナノ粒子を用いたミスト堆積法による微細構造を有するTiO2膜形成法を開拓している。さらに、太陽電池の変換効率には明導電性薄膜の特性の影響が顕著であることが示され、ウェットプロセスによる透明導電性薄膜形成を目指して、有機ゲルマニウムナノクラスターとZnOナノ粒子とを用いたGeドープZnO薄膜形成、Agナノ粒子とZnOナノ粒子とを用いたAgドープZnO薄膜形成に関する検討に着手している。 以上にょうに、無機元素ブロック材料を用いた新規太陽電池実現を目指して、おおむね順調に研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
金属、SiやGe半導体系、TiO2やZnO等の酸化物半導体系のクラスターや微粒子系およびそれらを用いた光電子デバイスの特性においては、それの表面構造の制御が重要となる。表面の化学構造が無機元素ブロック材料の光電子物性にどのような影響を及ぼすかを理論および実験の両面から明らかにしていくことが本研究目的の達成に必要なこととなる。このためには、領域内での共同研究を有効に行っていくことが必要となる。理論的な検討に関しては、SiやGe半導体系、TiO2やZnOの酸化物半導体のクラスター構造のモデリングを行い、分子軌道計算に基づき様々な表面修飾法の可能性を領域内での共同研究を生かして行っていくことを考えている。また、無機元素ブロック材料からなる薄膜の構造を明らかにすることを目的とした領域内での共同研究を展開してく。 これらの知見を無機元素ブロック材料の創成に生かし、高い変換効率と安定性を有した新規太陽電池につながるブレークスルーを目指していく。
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