2014 Fiscal Year Annual Research Report
金属や半導体のクラスターおよびナノ粒子からなる元素ブロック
Project Area | Creation of Element-Block Polymer Materials |
Project/Area Number |
24102004
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡辺 明 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (40182901)
|
Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
|
Keywords | 無機高分子 / 無機元素ブロック / ナノ材料 / クラスター / 半導体物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、エネルギー環境問題の顕在化から太陽電池の普及が希求され、新規な材料および構造をからなる太陽電池を目指した研究が盛んに展開されている。ウェットプロセスにより高効率かつ低環境負荷・低コストで製造可能な新規材料の探索において、有機系半導体材料、安定性や信頼性の面で優れた有機-無機ハイブリッド材料、および無機ナノ材料に期待が集まっている。平成26年度においては、(1)元素ブロック材料を用いたヘテロ接合型太陽電池における半導体表面の電子状態制御と高変換効率化、および太陽電池の構成要素として重要な(2)金属系元素ブロックを用いた電極材料および透明導電膜形成に関する検討を行った。(1)においては、p-Si/酸化チタン(アナターゼ型,ナノ粒子平均粒径15nm)ヘテロ接合型太陽電池において、酸化チタンナノ粒子の表面電子状態の制御を目指して、高誘電体ポリマーとのコンポジット化に関する検討を行った。酸化チタンと高誘電率を有する有機化合物(シアノエチル基置換ポリマー; 比誘電率24)のハイブリッド材料系を調整して形成したp-Si/(酸化チタン-高誘電体コンポジット)ヘテロ接合型太陽電池においては、変換効率ηは13.0%に達し、良好なパラメータ(開放電圧Voc =0.55V, 短絡電流Jsc= 35.7 mA/cm2, フィルファクターFF=0.67)が得られている。このような変換効率は、低温ウェットプロセスによる透明酸化物半導体薄膜を用いた太陽電池としては最も高いものであった。(2)に関しては、本領域内での共同研究として、エチルセルロース修飾銅ナノ粒子を用いたレーザープロセッシングによって、表面酸化の影響を抑えた低抵抗銅薄膜のワンステップ形成に関する検討を行い、数ミクロンの分解能での銅微細配線の直接描画を達成している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
無機元素ブロック材料とそれらを用いた新規光電子機能材料形成プロセスにより、新規太陽電池の開拓への貢献を目指している。有機材料と同様な環境負荷の低いプリンタブルプロセスでの形成が可能であり、なおかつ無機材料同等の耐久性を有した元素ブロック材料による太陽電池は、社会的にも希求さるものとなっている。元素ブロックからなる太陽電池実現に必要なキーマテリアルとしては、半導体材料、電極材料、および透明導電膜が挙げられる。平成26年度は、p-Si/酸化チタン(アナターゼ型,ナノ粒子平均粒径15nm)ヘテロ接合型太陽電池についての検討を行ない、ナノ粒子酸化チタン単体では0.4%であった変換効率を、高誘電体ポリマーとのハイブリッド化によって、13.0%まで向上させることができている。また、電極材料および透明導電膜材料においては、無機元素ブロック材料を用いたレーザープロセッシングによって、低抵抗銅配線の微細パターン形成や、In-Sn合金ナノ粒子のレーザーシンタリングによる透明導電膜の形成が出来ている。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの研究においては,元素ブロックとしての半導体ナノ粒子本来の特性の発現のための表面状態の制御を、酸化チタンナノ粒子―高誘電体コンポジット化とその光電子物性から検討を行ってきた。これによって、酸化チタンナノ粒子とp型シリコンとのヘテロ接合型太陽電池においては、13%に達する変換効率を達成できている。このように、半導体ナノ粒子系の元素ブロックでは、酸化チタンナノ粒子からなる太陽電池において、高誘電体とのコンポジット化による効果を実験的には観測しているものの、その機構に関しては不明な点が多い。今年度は、酸化チタンナノ粒子―高誘電体コンポジット系におけるキャリア移動度に及ぼす誘電率の効果を、Time-of-Flight(TOF)法により検討おこない、誘電体の作用機構にを明らかにすることを目的とした研究を行っていく。また、このような、半導体ナノ粒子系における高誘電体の効果が普遍的なものであるかどうかを、酸化チタン以外のナノ粒子(酸化亜鉛、酸化銅、シリコン微粒子等)―高誘電体コンポジット系の光電子物性の検討から明らかにしていく。また、蓄電型の太陽電池の構築を目的として、酸化グラフェンのレーザー照射還元法によるグラフェン微細パターンの形成をそれを用いたグラフェンスーパーキャパシターの開発を行っていく。
|
Research Products
(27 results)