2013 Fiscal Year Annual Research Report
高分子反応による多彩な元素ブロック高分子の構築法の開拓
Project Area | Creation of Element-Block Polymer Materials |
Project/Area Number |
24102007
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
冨田 育義 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (70237113)
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Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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Keywords | 合成化学 / 高分子合成 / 高分子反応 / π共役高分子 / 元素ブロック / 機能性高分子 / 太陽電池 / 有機半導体 |
Research Abstract |
本研究では、様々な元素ブロックを含む部分構造をπ電子系にハイブリッド化した未踏のπ共役高分子の合成手法の開拓を目的として、金属-炭素結合を主鎖に含んだ反応性前駆体高分子の主鎖の組み替えを伴う高分子反応について検討を行っている。本年度は、反応性の高い元素ブロックを含むπ共役高分子として、15族元素のリン、アンチモン、ビスマスを含有するホスホール、スチボール、ビスモールなどを繰返し単位にもつπ共役高分子を中心に合成を推進し、本合成手法の有用性のさらなる位置づけを行った。 得られたπ共役高分子のうち、特に15族高周期元素を含む場合は比較的不安定であったが、元素上の置換基の適切な分子設計により安定化を行うことで新しい材料としての応用の可能性が示された。また、これらの元素ブロックπ共役高分子の光・電子的特性を評価した結果、LUMOエネルギー準位が低い電子アクセプター性の材料であることが示された。 さらに、ホスホール含有π共役高分子のリン原子の化学修飾を種々検討した結果、比較的簡単な方法によって元素ブロック化が達成でき、LUMOのエネルギー準位の低下とこれに伴う狭バンドギャップ化が可能となることが分かった。 つぎに、ここで確立された高分子反応に基づき、太陽電池などの電子デバイスへの応用に向けた分子設計を行った。すなわち、A04班の理論的バックアップを得つつA01班と共同でジチエノゲルモール部位をもつ有機チタンポリマーを合成し、電子アクセプターの15族含有ヘテロール部位をもつπ共役高分子へと変換したところ、紫外可視吸収スペクトルにおいて吸収端が900nm以上に達する狭バンドギャップ材料が得られることが分かった。 また、アセチレン部位をもつπ共役高分子へのハロゲン化テルル化合物の付加反応を別途検討し、比較的簡単な高分子反応によって元素ブロックπ共役高分子が得られることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成25年度当初に計画していた15族元素をもつπ共役高分子への変換については予定どおりの合成研究の展開を行うことができ、得られるπ共役高分子の光、電子特性に対して元素が及ぼす効果を明確にすることができた。さらに、リン原子上に様々な官能基や元素をさらに付与する方法でリン部位を元素ブロック化すると、当初の期待以上に大きな光、電子特性の変化が起こり、あたかもビスマスよりも高周期元素を付与したかのような顕著な効果が示された。さらに、現段階では十分にまとまってはいないものの、平成26年以降の計画であった遷移金属元素ブロックをもつπ共役高分子への変換の可能性も予備的に示されており、次年度以降に成果をまとめつつ報告を行う上で重要な指針を得ることができた。 また、領域内の共同研究も順調に進行し、従来法では合成に大きな負荷がかかっていた狭バンドギャップπ共役高分子への変換なども効率よく合成が達成でき、予想以上の特性をもつ新しい材料が得られることを明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度までの研究結果に立脚しつつ、引き続き金属-炭素結合を主鎖に含んだ反応性前駆体高分子をの主鎖の組み替えを伴う高分子反応について検討を行い、本手法の一般性を示すとともに、従来法では合成が困難であった元素ブロックを含む新規なπ共役高分子を得る手法として精密な高分子反応の有効性を明確化する。特に有機チタンポリマーの13族元素、14族元素、遷移金属部位、およびそれらのインターエレメント結合をもつ元素ブロック部位などをもつπ共役高分子への変換を勢力的に検討する。また、これらの研究で得られる元素ブロックπ共役高分子をさらに反応させ、これらを通した新規の元素ブロックπ共役高分子の構築を検討する。これらと並行して、特異な反応性が見込まれる反応性の前駆体として有機金属高分子を設計、合成し、それらの元素ブロックをもつし役との高分子反応を併せて検討する。つぎに、以上の検討結果から得られるπ共役高分子の光、電子特性などを系統的に評価し、元素ブロックがπ共役高分子の機能に及ぼす効果を明確にする。 さらに、領域内での共同研究を加速させつつ活発に行い、適切な高分子設計を行いつつ太陽電池デバイス等への応用を推進し、新規の元素ブロックπ共役高分子の有用性を明らかにしたいと考えている、
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Research Products
(91 results)